2023.07.06

手足口病にかかったら?保育園にいつから行けるか対応方法を解説

毎年、夏頃に流行する子どもの病気、手足口病。

「手足口病は感染する」というイメージがあるため、かかってしまった場合いつから保育園に行けるのかなど、判断が難しい場面もあるでしょう。

この記事では、子どもが手足口病にかかった際の注意点や登園できるタイミングについて、詳しく解説します。

目次

保育園児が手足口病にかかったときの対処法

保育園に通っている子どもが手足口病にかかった場合、感染の拡大を防ぐために保育園を休ませることが一般的です。

では手足口病にかかった子どもは、必ず保育園を休むべきでしょうか?

また休んだ場合はいつから登園が可能か、家族に感染者がいた場合はどうすべきかもあわせて解説します。

保育園を休む必要はないケースも

保育園に通う子どもが手足口病にかかった場合、必ずしも保育園を休む必要はありません。手足口病は通常、自然治癒する病気であり、軽度の症状であれば、休まずに通園できることも多いです。

またインフルエンザのように、感染したことで出席停止になることはありません。

ただし、以下の場合は休ませることが望ましいでしょう。

  • 発熱、喉の痛み、発疹などの症状が重く、体調が著しく悪い場合
  • 医師からの休園勧告がある場合 
  • 保育園の方針やルールに基づき、休園が求められる場合 

登園させるか否かは、子どもの症状や医師の指示を考慮し、保育園と相談しながら最善の判断を行ってください。

いつから登園できるか明確な基準はない

手足口病の場合、明確な登園再開の基準は存在しません。感染力がある期間は通常1週間程度とされていますが、子どもの症状や体調回復の進み具合によって個別に判断されます。

一般的には、以下のポイントを考慮して登園の時期を検討します。

  • 発熱が解消し、体温が正常範囲に戻っていること
  • 口内炎や発疹の症状が軽減し、体力が回復していること
  • 医師の診断や指示に基づいて、登園が安全と判断されること

保育園の方針やルールに従い、適切なタイミングで登園できるようにしましょう。

登園時には登園許可証が必要な場合がある

手足口病の子どもが登園する際、保育園によっては登園許可証が必要な場合があります。

登園許可証は、法律上では提出を義務付けられてはいませんが、子どもの症状や回復の進み具合から、安全な登園ができることを確認するために導入されています。

登園許可証が必要な場合は、保育園の方針や手続きに従い、早めに医師との相談や必要な書類の準備を行いましょう。

同居人が感染しても登園できる

手足口病の子どもがいる家庭では、家族などの同居人も感染する可能性があります。

しかし、同居人が感染したからといって、必ずしも子どもが登園できないわけではありません。

保育園では、子どもの症状や感染状況、家庭内の環境などを総合的に判断し、登園の許可を出す場合もあります。

ただし、手足口病には3〜5日程度の潜伏期間があると言われているため、数日間は同居人の体調に気を配ることが必要です。

保育園へ正確な状況を伝え、子どもの登園可否について指示を仰ぎましょう。

手足口病とは

手足口病は、主にエンテロウイルスと呼ばれるウイルスに感染することによって引き起こされる感染症です。

1歳から5歳くらいまでの幼少期の子どもたちによく見られる病気で、集団行動の多い保育園などで感染が一気に広まることがあります。

大半の人は子どもの頃に感染して免疫がついているため、成人になってから発症する例は多くありません。大人が感染したとしても、症状がないか軽症のケースがほとんどです。

手足口病の症状

手足口病は感染後、3〜5日程度の潜伏期間を経て発症します。

症状には個人差がありますが、最初は喉の痛みや食欲不振から始まることが多いようです。

加えて以下の症状が出てきたら手足口病の可能性を考えて、早めに医療機関を受診しましょう。

  • 手のひらや足裏の発疹、水疱(水ぶくれ)発疹は肘、膝、お尻などにもできることがあります。

 

  • 口内炎口内にできた発疹は痛みを伴うことが多く、痛みにより食事や水分補給が困難になった場合は飲食物に配慮が必要です。またのどの痛みもこの発疹によるものです

 

  • 37〜38度程度の発熱3分の1程度の子どもに見られる症状で、38度よりも高い熱が出ることはほとんどありません。

 

  • 下痢、嘔吐症状が出ても軽度で、重症化するケースは少ないです。

 

ほとんどの場合、数日〜1週間で自然に治りますが、稀に髄膜炎、心筋炎、急性脳炎といった合併症を引き起こすことがあります。

発熱が何日も続く、嘔吐を繰り返すなど、不安な症状が出ている場合には早急に医療機関に相談してください。

また、言葉を喋れず熱などの症状を訴えることができない乳児が感染した場合は特に注意が必要です。

乳児に以下のような症状があった場合は、口の中に発疹がないか確認するなど、早期発見できるように努めましょう。

  • 泣き止まない
  • 不機嫌な状態が続く
  • よだれが多い
  • ミルクを飲まない

手足口病は保育園で感染しやすい

手足口病は、保育園などの集団生活の場で感染が広がりやすい病気です。

乳幼児は大人に比べて免疫力が低く、衛生観念もまだ育っていないことが多いため、感染しやすい傾向があります。

手足口病の病原体であるエンテロウイルスは感染力の強いウイルスで、下記の3つの感染経路をたどって子どもの体内に侵入します。

飛沫感染

咳やくしゃみの中のウイルスを吸い込むことで感染する

接触感染

唾液、鼻水の中のウイルスが体内に入ることで感染する

糞口感染

便の中のウイルスが体内に入ることで感染する

手足口病は「子どもの三大夏風邪」のひとつに数えられ、毎年6〜8月の間に流行する感染症です。そのため夏季は感染に気を配る必要があります。

感染してから3〜5日間程の潜伏期間を経て発症するため、家族などの同居人や身近な人が感染した際には、数日間は子どもの体調をよく観察するようにしましょう。

手足口病の治療方法

手足口病には特定の抗ウイルス薬がなく、具体的な治療方法も存在しません。

症状の軽減を促すための処置として解熱剤や痛み止めの服用などを適切に行いながら、自然に治るのを待ちましょう。

その間、脱水症状を防ぐためにこまめに水分を摂取することが重要です。

また体にできた発疹や水疱(水ぶくれ)を触ったり掻いたりすることで皮膚状態が悪化し、治りが遅くなるケースもあります。患部をむやみに触らせないなど、治るまで見守ってあげることが必要です。

手足口病にかかったあとに注意すること

子どもが手足口病にかかった際には、日常生活で配慮が必要な場面が出てきます。手足口病にかかった後に注意すべきポイントを3つご紹介します。

痛みが強くごはんが食べられないことがある

手足口病にかかると、口内炎が痛みを伴い、飲食が困難になることがあります。

そのため、刺激が少なく飲み込みやすい食事や飲み物を摂取させることが重要です。

まず、塩気の強いものや酸っぱい食べ物は避け、ゼリーや冷ましたおかゆなどの柔らかい食品を少量ずつ食べさせましょう。

口にするものは熱すぎたり冷たすぎたりしないか、温度に気を配ることも大切です。また常温の水や麦茶などを飲ませるなど、脱水症状にならないように気を配りましょう。

家族に感染しないようにする

手足口病は空気感染こそしないものの、飛沫や接触でうつる感染力の強いウイルスです。

さらに、症状がよくなってからも、2〜4週間程度は便からウイルスが排出され続けます。そのため、家族や身近な人への感染を防ぐ為の徹底した対策が必要です。

まずは手洗いと消毒を徹底し、ウイルスの拡散を防ぎましょう。

また、食器やタオルなどの共有を避け、各自で使い分けるようにします。可能な限り接触を避けて、家の中でもマスクをしましょう。これらの予防策を守ることで、家族への感染リスクを抑えることができます。

症状によってはプールの時間は休ませる

手足口病は、水疱(水ぶくれ)がつぶれ、液体が水中に漏れだすことにより感染することもあるため、症状によってはプールでの水遊びを休ませる必要があります。

プールに参加させるか否かの判断ポイントとしては、以下の3点が挙げられます。

  • 口内炎が治っている
  • 体の発疹が乾いている
  • 体温が平熱である

もし発熱していたり、口内炎や体の水疱(水ぶくれ)が残っている場合には、プールへの参加は控えるべきです。安全を第一に考え、周囲への感染予防に努めましょう。

手足口病の予防方法

手足口病には予防に有効なワクチンや薬は存在しません。ただし、適切な予防・対策をすることで感染するリスクを下げることはできます。

以下に、手足口病の予防方法をご紹介しますので、是非ご家庭で取り組んでみてください。

  • こまめに石けんで手を洗い、アルコール消毒をする
  • おむつ交換の後は手を洗い、ダストボックスなどを消毒する
  • 外出から戻った際にはうがいをする
  • タオルや食器の共用を避ける
  • ペーパータオルを利用する
  • 非接触型のソープディスペンサーを利用する
  • 外出時にマスクを着用する

よくある質問

手足口病にまつわる質問で、よく挙げられる下記の3点について回答します。

手足口病にかかってからどれくらいで保育園に行ける?

子どもが手足口病に感染して保育園を休ませた場合の、明確な登園再開の基準は存在しません。

手足口病は通常、数日〜1週間程で治ると言われています。子どもの症状が軽くなり、体調が回復してから登園するようにしましょう。登園の基準になるポイントは下記の4点です。

  • 発熱が解消し、体温が正常範囲に戻っていること
  • 口内炎や発疹の症状が軽減し、体力が回復していること
  • ご飯が普通に食べられること
  • 医師の診断や指示に基づいて、登園が安全と判断されること

また、保育園によってはルールが定められている場合がある為、保育園に相談した上で登園させるようにしましょう

手足口病にかかってから外出しても大丈夫?

一般的には手足口病の症状が改善され、体力や食欲が回復している状態であれば、外出しても問題はありません。

ただし、周囲の人々の感染リスクを考慮し、手洗いや咳エチケットの徹底を心掛けましょう。

手足口病は飛沫で感染するため、マスク着用の上で外出すると周囲への感染リスクを減らせます。また、こまめに石けんでしっかりと手を洗い、手指の消毒を行いましょう。

手足口病にかかった後いつからお風呂に入れる?

手足口病の症状が悪化している間や発熱がある場合は、安静に過ごし、湯船につかるのは控えるべきです。

ただし、症状が軽くなり、体調が安定してきた段階であれば、入浴しても問題はないでしょう。

お風呂に入れる際には、適切な温度であることを確認し、子どもの皮膚をやさしく洗うよう心がけてください。また、お風呂上がりにはしっかりと体を拭いて乾かし、清潔な衣服に着替えさせることも重要です。

さらに、手足口病は感染性が高いため、お風呂場やバスタオル、洗面器などの衛生面にも注意が必要です。

毎回のお風呂の後には、使用したバスタオルや洗面器を十分に洗浄し、乾燥させるようにしましょう。また、家族で共用する場合は、感染予防のために各自のタオルや洗面器を使うことが望ましいです。

まとめ

この記事では「子どもが手足口病にかかった場合にいつから保育園にいけるのか?」を軸に、手足口病について解説しました。

手足口病にかかった際の通園については以下の通りです。

  • 症状が軽度であれば休まなくて良い場合もある
  • いつから登園できるか、明確な決まりはない
  • 家族などの同居人に感染者がいても登園は可能
  • ルールが定められていることがあるので、感染がわかった段階で保育園に相談する

また、手足口病にかかった際に注意すべき点についてもまとめました。

  • ほとんどの人は1週間以内に治るが合併症を起こすことも稀にある
  • 口内炎が痛む場合は食べる物に配慮し、脱水症状に気をつける
  • 体の発疹や水ぶくれはむやみに触らないよう気を配る
  • 治療薬はないため、自然に治るのを待つ
  • 感染力が強いので、家族などの同居人や身近な人にうつさないよう配慮が必要
  • 感染を防ぐワクチンや薬はないので、手洗いなどで予防することが大切

通園の可否については、子どもに手足口病の症状が出た時点で早急に医療機関を受診し、保育園の指示を仰ぐのが良いでしょう。

手足口病に感染して心配な症状が出たり、感染対策で不安な点があった場合は自己判断せず、医療機関に相談すると安心です。

監修医師

古東麻悠(ことう・まゆ)

順天堂大学医学部卒業。途上国医療に関心を持ち、学生時代よりアジア・アフリカ各国の保健指導、巡回診療に参画。子どもたちのトータルサポートを目指し、小児科医として働きながらNPO法人very50、NPO法人Ubdobe(現株式会社デジリハ)のメディカルアドバイザーを兼務。現在は都内総合周産期病院にて新生児科医として勤務。一児の母。