各種混合ワクチンについて
2024年4月より、四種混合ワクチン(DPT-IPV)とヒブワクチンを組み合わせた五種混合ワクチン(DPT-IPV-Hib)が新たに導入されました。
2024年2月以降に生まれた赤ちゃんは、基本的に五種混合ワクチンを接種します。
2024年3月までに、四種混合ワクチンを接種していた場合、残りの必要な回数も通常は四種混合ワクチンを継続して接種しますが、五種混合ワクチンに切り替えても誤接種とはなりません。

ワクチンで予防できる疾病
五種混合
ジフテリア(D)/百日せき(P)/破傷風(T)/ポリオ(IPV)/ヒブ感染症(Hib)
四種混合
ジフテリア(D)/百日せき(P)/破傷風(T)/ポリオ(IPV)
三種混合
ジフテリア(D)/百日せき(P)/破傷風(T)
二種混合
ジフテリア(D)/破傷風(T)
疾病について/ワクチン接種の効果
ジフテリアとは?
ジフテリアは、ジフテリア菌により発生する疾病です。
ジフテリアにかかった場合、一般に10%程度の方が亡くなってしまうといわれています。特に5歳以下や40歳以上の年齢の場合は重くなりやすく、最大で20%の方が亡くなってしまうといわれています。
かつては年間8万人以上の患者が発生し、10%程度の方が亡くなった病気です。予防接種の導入により、日本での発生報告は1999年が最後になっています。
<感染ルート>
主に咳・鼻汁による飛沫感染によってうつり、喉などに感染します。
<ワクチン接種の効果>
ワクチンを接種することにより、ジフテリアにかかるリスクを95%程度減らすことができると報告されています。
百日せきとは?
百日せきは、百日咳菌により発生する疾病です。
激しい咳をともなう病気で、乳幼児は咳で呼吸ができなくなり、全身が青紫色になる(チアノーゼ)や痙攣を起こすことがあります。1歳以下の乳児、特に生後6か月以下では亡くなってしまうこともあります。また、窒息や肺炎等の合併症が致命的となることがあります。
百日せきにかかった場合、一般に0.2%(月齢6か月以内の場合は0.6%)のお子さんが亡くなってしまうといわれています。また、肺炎になってしまうお子さんが5%程度(月齢6か月以内の場合は約12%)いるとされており、その他、痙攣や脳炎を引き起こしてしまう場合もあります。
<感染ルート>
主に飛沫感染によって口や鼻からうつります。
<ワクチン接種の効果>
ワクチンを接種することにより、百日せきにかかるリスクを80~85%程度減らすことができると報告されています。
破傷風 とは?
破傷風は、破傷風菌により発生する疾病です。
さまざまな神経に作用し、口が開き難い、顎が疲れるといった症状に始まり、歩行や排尿・排便の障害などを経て、最後には全身の筋肉が固くなって体を弓のように反り返らせたり、息ができなくなったりし、亡くなることもあります。
破傷風に感染した場合、亡くなる割合が非常に高い病気です。以前は新生児の発生もみられましたが、近年は30歳以上の成人を中心に患者が発生しています。
<感染ルート>
主に傷口からの接触感染でうつりますが、人から人へうつることはありません。
<ワクチン接種の効果>
ワクチンを接種することにより、破傷風に対して100%近い方が十分な抗体を獲得すると報告されています。
ポリオ (急性灰白髄炎)とは?
ポリオ(急性灰白髄炎)は、ポリオウイルスにより発生する疾病です。
手足の筋肉や呼吸する筋肉等に作用して麻痺を生じることがあります。永続的な後遺症を残すことがあり、特に成人では亡くなる確率も高いものとなっています。
ポリオは脊髄性小児麻痺とも呼ばれ、名前のとおり子ども(特に5歳以下)がかかることが多く、麻痺などを起こすことのある病気です。
ポリオウイルスに感染した場合、弛緩性麻痺を起こす割合は1%以下とされていますが、麻痺性の急性灰白髄炎を発症した場合には、一般に2~5%のお子さんが亡くなってしまうといわれています。また、特に成人の場合は重くなりやすく、15~30%の方が亡くなってしまうといわれています。
<感染ルート>
主に感染した人の便を介してうつります。
<ワクチン接種の効果>
ワクチンを接種することにより、ポリオ(急性灰白髄炎)に対して99%の方が十分な抗体を獲得すると報告されています。
ヒブ感染症 とは?
ヒブ感染症は、ヘモフィルスインフルエンザ菌b型(Haemophilus influenza type b)という細菌によって発生する疾病です。
ほとんどが5歳未満で発生し、特に乳幼児での発生に注意が必要です。
症状がないまま菌を保有(保菌)して日常生活を送っている子どもも多くいます。
この菌が何らかのきっかけで進展すると、肺炎、敗血症、髄膜炎、化膿性の関節炎等の重篤な疾患を引き起こすことがあり、これらを起こした方のうち3~6%が亡くなってしまうといわれています。
特に髄膜炎の場合は、生存した子どもの20%に後遺症(発達障害、聴力障害、てんかんなど)を残すといわれています。
<感染ルート>
主に咳、鼻汁による飛沫感染によってうつります。
<ワクチン接種の効果>
ワクチンを接種することにより、ヒブ感染症による髄膜炎や髄膜炎以外の侵襲性感染症を減少する効果が期待できます。2008-2010年とヒブワクチン定期接種化後の2014年を比較すると、5歳未満・人口10万人あたりのインフルエンザ菌髄膜炎の罹患率が100%減少し、インフルエンザ菌による髄膜炎以外の侵襲性感染症の罹患率が90%減少しました。
参考サイト:厚生労働省ホームページ
ワクチン接種のスケジュール
ワクチンを接種することにより、重篤な疾病の予防ができます。
スケジュール通り進められなくても、ご調整いたしますのでお気軽にご相談ください。
<0〜2歳のスケジュール>

<3歳〜のスケジュール>

三種混合ワクチンについて (任意接種)
百日せきのワクチン効果は4〜12年のうちに減少していきます。そのため、6歳のMR(2回目)と合わせて三種混合ワクチン(ジフテリア/百日せき/破傷風)の追加接種をおすすめします。
小学校入学前の時期の追加接種は、WHOも推奨しています。
特に乳児への家族内感染が心配な場合は、4歳以降での追加接種をおすすめします。
百日せきは小学生や高校生、大学生、成人でもかかります。
特に小さな赤ちゃんがかかると重症化する可能性があるため、生後2か月になったらできるだけ早く受けましょう。
二種混合ワクチンについて
二種混合ワクチンは定期接種です。11歳時の接種が推奨されています。
11〜13歳未満に二種混合ワクチンを受けることで、ジフテリアと破傷風に対する確実な免疫をつけられるようになります。
百日咳の予防を目的に、二種混合ワクチンの代わりに三種混合ワクチンを接種することもできます(但し、任意接種です)。かかりつけ医と相談しましょう。
ワクチン接種後の副反応
稀に起こる重い副反応として「アナフィラキシー」があります。接種後30分以内に起こることが多いため、お時間に余裕のある時の接種が望ましいです。
その他、接種部分に赤みや腫れ・しこりができることがあります。腫れは、回数を重ねる毎に少し増えることもありますが、ほとんどの場合は深刻な問題にはなりません。
稀に腕全体が腫れることがあります。その時はかかりつけ医を受診してください。
各種ワクチン接種後のご注意
・ワクチン接種後30分程度は、医療機関内もしくはすぐ近くでお子様の様子を観察しましょう。この間に急な副反応(アナフィラキシーなど)が起こることが稀にあります。
・ワクチン接種後、当日は運動を控えましょう。
・発熱がなく、普段と変わらない様子であれば、お風呂はいつも通りに入れます。