小児外科とは
小児外科はお子さんの病気を手術により治すことを専門としています。
対象となる病気は多岐に渡りますが、一般的に多く見られるものとしては鼡径ヘルニア (脱腸) 、臍ヘルニア (でべそ) 、停留精巣 (おちんちんの玉が降りていない状態) 、包茎 (おちんちんの皮がむけていない) があります。
手術で治すことを専門としていますが、本当に手術が必要かどうかの判断をするのも重要な役割です。
多くの病気は健診などにより見つかりますが、それ以外にもお子さんに気になる症状があれば、お気軽にご相談ください。
鼡径ヘルニア(脱腸)、陰嚢水腫
腹膜症状突起と呼ばれる袋が先天的に残っていることにより、泣いたりお腹に力が入った時に足の付け根が膨らむという症状が出ます。袋の大きさによって症状は様々で、男の子で袋に水が溜まっているだけの状態であれば陰嚢水腫と呼ばれます。
生まれたての赤ちゃんであれば自然に症状が出なくなることもありますが、腸がはまり込んで戻らなくなること(嵌頓)を防ぐために手術で治す必要があります。
臍ヘルニア(でべそ)
臍の緒が取れた後に筋肉が寄り切らず、腹壁に隙間が空いている状態です。泣いた時に腸がはみ出ておへそが膨らみます。多くの場合は自然に閉じて治りますが、治った後も皮膚が伸びてしまったり瘢痕化した袋がおへそに残ってしまうとでべその状態が残ります。
赤ちゃんのうちは綿球で圧迫する圧迫療法を行うことにより自然治癒を促進することができ、かつ皮膚が伸びるのを防ぐことができるので効果的です。1歳を過ぎても隙間が閉じない場合や、2〜3歳になってでべその状態が気になる場合は手術により直します。
当クリニックで手術の相談や、圧迫療法を行うことができます。
停留精巣と移動性精巣
おちんちんの玉(精巣)が袋の中に入っておらず、お腹の近くに留まっている状態が停留精巣です。
自然に良くなることもありますが、1歳近くになっても降りてこない場合は手術が必要です。
それと似て、精巣が固定されておらず袋から出てしまう状態が移動性精巣で、こちらは必ずしも手術が必要ではありません。これらを区別することは難しいことも多いですので、健診などで指摘された場合は、一度ご相談ください。
包茎と尿道下裂
おちんちんの皮が剥けていない状態が包茎で、オムツをしている小さいお子様にとっては正常ですので気にする必要はありません。皮が剥ける時期は人それぞれ(4〜12歳)ですが、ステロイド軟膏を塗ることによって剥けやすくすることもできます。
炎症を起こして皮が硬くなってしまった場合や、体が大きくなっても全く剥けない場合は手術をした方が良いこともあります。また、おちんちんが埋もれてしまって小さく見える埋没陰茎も手術が必要な病態です。
おしっこの出口が通常と違う位置にある病気は尿道下裂と呼ばれ、おちんちんの曲がりも伴うこともあります。
500人に1人程度に認められる先天性の病気ですが、病型や手術適応を含めた正確な診断は専門医以外には難しいため、おちんちんの形が気になる場合はご相談ください。
漏斗胸(胸の凹み)
肋骨の変形により、胸が凹んでいる状態が漏斗胸です。
赤ちゃんの頃から凹んでいることもありますが、骨の成長にともなって凹みが目立ってくることもあります。
凹みが目立って気になる場合はバーを入れて矯正する手術(Nuss法)によって治すことができます。
手術をする最適な年齢は骨がある程度成長した13〜15歳頃であると言われており、それより前であればバキュームベルという胸に陰圧をかけて凹みを抑える器具を用いることにより症状を改善させることができることもあります。
また、扁桃やアデノイドの腫大によって胸の凹みが強くなることもあり、そちらを手術することによって良くなることもあります。治療選択肢が複数ある病気です。
健診の受付日時
毎週◯曜日の◯時〜◯時
よくある質問
担当医
澁谷聡一
経歴
京都府立医科大学 卒業
順天堂大学 小児外科・小児泌尿生殖器外科
長野県立こども病院
聖隷浜松病院
Great Ormond Street Institute of Child Health, University College London
専門分野
小児外科(先天性疾患・新生児外科・低侵襲手術)
胎児診断・外科系疾患の出生前コンサルテーション
再生医療
資格
日本外科学会 小児科専門医
日本小児外科学会 小児科専門医
日本周産期・新生児医学会 認定外科医
da Vinci Certified Surgeon(ロボット手術認定)
医学博士
診察日
火曜日 9:00~12:30
手術が必要と判断された際には、適切な治療が行える病院へ紹介状を準備させていただきます。