2023.11.27

小児気管支喘息|家庭で使える吸入器「ネブライザー」の特徴と使い方・選び方を知ろう

小児気管支喘息(ぜんそく)と診断された子どもの保護者の方のなかには、医師から「ネブライザー」を勧められた方もいるのではないでしょうか?ネブライザーは、誰でも使える吸入器で、喘息の治療に欠かせないものです。

本記事では、ネブライザーの選び方や使用方法、使用時の注意点などをご紹介します。

「ネうブライザーがどのようなものか分からない」「ネブライザーを選ぶ際のポイントが知りたい」という保護者の方は、ぜひ参考にしてみてください。

目次

小児気管支喘息の治療に使う吸入器「ネブライザー」とは

ネブライザーとは、乳幼児から高齢者まで使える吸入器です。

喘息の治療には、吸入ステロイド薬の吸入が欠かせません。

しかし、吸い込む力が弱い乳幼児や高齢者の場合、上手に吸入できないことがあります。

そのようなときに便利なのが、ネブライザーです。

ネブライザーを使って吸入薬を霧状にして吸い込むことで、確実に気管支まで薬を届けられます。

ネブライザーを使った吸入というと、医療機関で行うもののイメージがあります。

しかし、自宅で利用できるコンパクトなネブライザーも市販されているので、医療機関から勧められた際は購入を検討しましょう。

ネブライザーの特徴

ネブライザーには、次のような特徴があります。

  • 自然に呼吸するだけで、乳幼児や高齢者も確実に吸入できる
  • 吸入する薬の量が調整しやすい
  • のどがうるおうので、痰が切れやすくなる
  • 発作時に使う薬も吸入できるため、緊急時にも使える
  • 手順を覚えれば、簡単に使える

ネブライザーの3つの種類

ネブライザーには、以下の3つの種類があります。

  • ジェット式
  • 超音波式
  • メッシュ式

各商品の説明書の指示に従い、使用しましょう。

それぞれの特徴を解説します。

ジェット式

ジェット式ネブライザーは、圧縮した空気の力で薬液を霧状にするタイプです。コンプレッサー式とも呼ばれます。

ジェット式ネブライザーのメリット・デメリットは、以下のとおりです。

メリット

  • ほとんどの薬液が使用できる
  • 他のタイプに比べてメンテナンスが簡単

デメリット

  • 使用時の音が大きい

超音波式

超音波式ネブライザーは、超音波振動によって薬液を霧状にするタイプです。大型で、自宅に置いて使用するのに適しています。

超音波式ネブライザーのメリット・デメリットは、以下のとおりです。

メリット

  • パワーが強く、長時間の吸入にも使用できる

デメリット

  • 使用できる薬液が限られている
  • メンテナンスが少し難しい
  • 大型で持ち運びに適さない

メッシュ式

メッシュ式ネブライザーは、薬液をメッシュの穴から押し出して霧状にするネブライザーです。軽量・コンパクトな製品が多く市販されています。

メッシュ式ネブライザーのメリット・デメリットは、以下のとおりです。

 

メリット

  • 軽くコンパクトで、持ち運びに適している
  • 動作音が静か
  • 傾けたまま使えるため、寝た姿勢でも吸入しやすい

デメリット

  • 使用できる薬液が限られている

お尻をやさしく洗ってあげる

繰り返される下痢でお尻がただれてしまうことが多いため、ぬるめのお湯で優しく洗い、清潔な状態を保ちましょう。

排泄物をしっかり落とすために強く擦ると、肌が傷つき危険です。

ネブライザーの4つの選び方

ここからは、ネブライザーの4つの選び方を解説します。

  • サイズで選ぶ
  • 動作音で選ぶ
  • 薬の種類で選ぶ
  • 吸入口のタイプで選ぶ

サイズで選ぶ

まずは、サイズ・重さをチェックしましょう。外出時に持ち運ぶなら、できるだけ小さく、軽いものがおすすめです。

ジェット式ネブライザーと超音波式ネブライザーは、据え置きで使用することを想定して作られている製品が多いので、持ち運び用にはメッシュ式ネブライザーが適しています。

動作音で選ぶ

動作音も大切なポイントです。マンションなど音が響きやすい場所や、夜間など静かな時間に使うなら、できるだけ動作音が静かなものを選びましょう。

ジェット式ネブライザーは、静音設計であっても動作音が大きいものが少なくありません。

静かなネブライザーを探している方には、超音波式やメッシュ式のものがおすすめです。

薬の種類で選ぶ

使用できる薬の種類も確認してください。

ジェット式ネブライザーは、ほとんどの吸入薬で使用できます。しかし、超音波式とメッシュ式は使用できる薬に制限があります。

ネブライザーを購入する際は、事前にどのタイプがよいのか医師に相談するとよいでしょう。

吸入口のタイプで選ぶ

ネブライザーには、マウスピースタイプとマスクタイプがあります。

マウスピースタイプは、太いストローのようなピースを加えて吸入します。乳幼児が上手に吸入するには少しコツが必要です。

乳幼児に使用する場合は、鼻や口元を広く覆えるマスクタイプを選ぶと、呼吸がしやすいといわれています。

ネブライザーの使用方法

ネブライザーの使い方は次のとおりです。

1.薬液をよく振り、1回分をネブライザーのボトルに入れる

2.ネブライザーのスイッチを入れ、噴霧が確認できたらマウスピース・マスクを口に当てる

3.ゆっくり、深く呼吸することを心がけながら薬液を吸入する

4.薬液がなくなるまで吸入する

ネブライザー使用時の注意点

ネブライザーを使用する際は、次のことに注意しましょう。

  • ステロイド薬を吸入したら忘れずにうがいをする

ネブライザーでステロイド薬を吸入した後は、口の粘膜に薬液が残らないよう、忘れずにうがいをしてください。

口の粘膜にステロイド薬が残っていると、粘膜の免疫機能が低下してカンジダというカビの一種が増えることがあります。

  • ネブライザーは常に清潔な状態で使う

ネブライザーは、使用後できるだけ時間を置かずに手入れをし、清潔な状態を保ちましょう。

ネブライザーの内部が汚れていると、薬液だけでなくカビや汚れも吸い込んでしまいます。

週に1度はパーツを分解して、消毒するのも大切です。

  • 吸入中は目を離さない

子どもに吸入させている間は、目を離さないようにしましょう。

顔色や呼吸を確認し、気分が悪くなったり呼吸が苦しそうになったりした場合は、すぐに吸入を中止してください。

  • 医師の指示どおりに使用する

薬の量や吸入の間隔などは、医師の指示に従いましょう。何か不明なことがあれば、まずはかかりつけの医師に相談してください。

  • 頻繁に発作が起きているときは早めに医療機関を受診する

吸入をしていても頻繁に発作が起きているときは、早めに医療機関を受診してください。

大きな発作が起きたときは自宅で吸入を行い、救急外来を受診しましょう。

ネブライザーに関するよくある質問

ネブライザーに関するよくある質問をまとめました。ネブライザーの購入を考えている保護者の方は、参考にしてみてください。

  • ネブライザーはどんなときに使用しますか?
  • ネブライザーをレンタルできると聞きました。本当ですか?
  • 家庭用吸入器とネブライザーの違いは何ですか?
  • ネブライザーはどこで購入できますか?
  • ネブライザー以外の方法で小児気管支喘息をおさえる方法はありますか?

ネブライザーはどんなときに使用しますか?

ネブライザーは、小児気管支喘息を含む喘息や気管支炎・肺炎・副鼻腔炎の治療のために使用します。

ネブライザーをレンタルできると聞きました。本当ですか?

住んでいる自治体や通っている医療機関によっては、ネブライザーの貸し出しを行っているところもあります。

詳しくは自治体の福祉相談窓口、またはかかりつけの医療機関に問い合わせてみてください。

家庭用吸入器とネブライザーの違いは何ですか?

家庭用吸入器は、水だけを使ってのどや鼻の粘膜を加湿するためのものです。ネブライザーと比べて、噴霧される粒子が大きいといった違いがあります。

ネブライザーはどこで購入できますか?

メーカーの公式サイトやネット通販のほか、薬局で取り寄せて購入することが可能です。

ネブライザー以外の方法で小児気管支喘息をおさえる方法はありますか?

小児気管支喘息の場合、ダニやホコリなどが喘息悪化の原因になることがあります。

医療機関を受診して適切な治療を受けることは重要ですが、喘息が起きにくい環境を整備することも大切です。

掃除機でホコリをしっかり取り除いたり、喫煙している家族がいる場合は禁煙してもらったりすることで、喘息の発作が起きにくい環境が作れます。

まとめ

喘息の治療に欠かせない吸入薬ですが、乳幼児は上手に吸入できないことがあります。そのような場合は、ネブライザーを使うのがおすすめです。

ネブライザーを使うと、乳幼児でも自然に呼吸するだけでしっかり薬を吸入できます。

ネブライザーにはジェット式・超音波式・メッシュ式の3タイプがあるので、それぞれの特徴を踏まえて選んでみましょう。

購入する際は、今処方されている薬液が使用できる製品かどうかも忘れずに確認してください。

監修医師

古東麻悠(ことう・まゆ)

順天堂大学医学部卒業。途上国医療に関心を持ち、学生時代よりアジア・アフリカ各国の保健指導、巡回診療に参画。子どもたちのトータルサポートを目指し、小児科医として働きながらNPO法人very50、NPO法人Ubdobe(現株式会社デジリハ)のメディカルアドバイザーを兼務。現在は都内総合周産期病院にて新生児科医として勤務。一児の母。