2023.11.20

小児気管支喘息に使えるの?気管支喘息の吸入薬「シムビコート」とは

小児気管支喘息(ぜんそく)に苦しんでいる子どもの保護者のなかには「もっとよい薬があるのではないか」「他にどんな薬があるか知りたい」という人もいるでしょう。

小児気管支喘息には、発作を抑える薬や発作を起きにくくする薬など、さまざまな種類があります。そのなかのひとつであるシムビコートは、狭くなった気管支を広げつつ、炎症を鎮める吸入薬です。

本記事では、シムビコートは小児に適応があるのかや、用量、使用上の注意などを解説します。

目次

シムビコートの特徴

シムビコートは、気管支喘息のほか慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎・肺気腫)の治療に使われる吸入薬です。

現在のところ子どもへの適応は認められておらず、成人が使用することを前提としています。

ここからは、以下にわけてシムビコートについて解説します。

  • シムビコートの効果
  • シムビコートの使用頻度
  • シムビコートの使用量と使用回数
  • シムビコートの使い方

シムビコートとは

シムビコートは、ブデソニドとホルモテロールフマル酸塩水和物を主成分とした吸入薬で、気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎・肺気腫)の治療に用いられます。

気管支を拡張する薬と炎症をおさえる薬が両方配合された製剤で、狭くなった気管支を広げるとともに気管支の炎症を抑えます。

シムビコートの使用量と使用頻度

・発作時はシムビコート以外の薬を使う人

定期吸入の1回量

通常1吸入。症状に合わせて4吸入まで増量可

定期吸入の回数

1日2回

1日に吸入できる最大量

合計8吸入

・発作時もシムビコートを使う人

定期吸入の1回量

通常1吸入。症状に合わせて2吸入まで増量可

定期吸入の回数

1日2回

発作が起きたときの追加吸入方法

発作が起きたら1吸入

数分経っても発作が治まらない場合、定期吸入と合わせて最大6吸入まで追加

1日に吸入できる最大量

通常合計8吸入

ただし医師の指示がある場合は一時的に12吸入まで増量可

(8吸入を超える場合は医療機関を受診)

シムビコートの本体には小窓があり、おおよその吸入可能回数が表示されています。

数字が0になったら新しい吸入器に交換します。

シムビコートの使い方

シムビコートの使い方は以下の通りです。

1.キャップを外す
まず、左手で下の回転グリップを持ち、反時計回りに回してキャップを外します。

2.しっかり息を吐く苦しくない程度に、十分に息を吐きます。

3.本体を口にくわえ、勢いよく吸入する勢いよく、深く息を吸って、薬を吸入してください。

4.3~5秒間息を止める

5.鼻からゆっくり息を吐く

6.うがいをする
シムビコートにはステロイドが含まれています。
口の粘膜にステロイドが付着したままだと、免疫機能が低下して感染のリスクがあります。
このため、吸入後のうがいが必要です。

7.吸入口をティッシュや乾いた布で拭いてフタを締める

開封した場合は、その日付を記入します。シムビコートは開封後3ヶ月以内に使用します。

シムビコートの使用上の注意

シムビコートを使用する際は、次のことに注意します。

  • 効果が出ない場合は早めに受診する
  • 自己判断で使用を中止しない
  • 定期的な検査が必要になる
  • 妊婦・妊娠している可能性がある人は医師に相談する
  • 他の医療機関や薬局でシムビコートを使用していることを伝える
  • 薬が残っても絶対に人に渡さない

効果が出ない場合は早めに受診する

シムビコートを使用しても症状がよくならない場合は、早めに医療機関を受診する必要があります。

自己判断で使用を中止しない

シムビコートは、体調がよいからといって自己判断で使用を中止してはいけない薬です。

急に使用を中止すると、症状が急に悪化することがあります。

定期的な検査が必要になる

シムビコートを大量に長期間使用すると、副腎皮質機能が低下して、だるさや吐き気、嘔吐、力が入らない、食欲不振といった症状が現れることがあります。

そのため、この薬を使用している期間は定期的に検査を受ける必要があります。

妊婦・妊娠している可能性がある人は医師に相談する

妊娠している人または妊娠している可能性がある人、授乳中の人は、事前に医師に相談する必要があります。

他の医療機関や薬局でシムビコートを使用していることを伝える

他の医療機関を受診したり、薬局で市販薬を購入する際は、医師または薬剤師にシムビコートを使用していることを伝える必要があります。

薬が残っても絶対に人に渡さない

シムビコートは薬が余っても、譲渡してはいけません。

シムビコートを使用できない人

以下にあてはまる人はシムビコートを使用できません。

・有効な抗菌剤のない感染症にかかっている人
・全身の真菌症にかかっている人 
・過去にシムビコートを使って体調が悪くなった人
・結核にかかっている人 

また次の人には、慎重に使用する必要があります。

・感染症にかかっている人
・甲状腺機能亢進症の人
・高血圧の人
・心臓に障害のある人
・糖尿病のある人
・低カリウム血症の人
・肝臓に重篤な障害のある人
・高齢の人

シムビコートには併用に注意すべき薬が存在します。

他に服用している薬があるなら、医師または薬剤師に相談する必要があります。

シムビコートは、成人が使用することを前提に作られた薬です。小児での臨床試験は行われておらず、使用できません。

シムビコートによる副作用

シムビコートによる副作用として次のような症状があります。

・重大な副作用

重大な副作用

主な自覚症状

アナフィラキシー

全身のかゆみ、蕁麻疹、のどの痒み、動悸(どうき)、息苦しい、ふらつき

重篤な血清カリウム値の低下

脱力感、喉が渇く、筋力の低下、手足のまひ、息苦し

い、意識の低下、意識の消失

・部位ごとに現れる副作用

部位

自覚症状

全身

ふらつき、脱力感

頭部

意識の低下、意識の消失

口・のど

のどの痒み、のどが渇く

胸部

動悸、息苦しい

手足

手足のまひ

皮膚

全身の痒み、蕁麻疹

筋肉

筋力の低下

使用方法を間違えたときの対処法

シムビコートの使用方法を間違えたときは、次のように対処します。

使用を忘れたときは

使用を忘れたときは、気付いたタイミングで1回吸入します。

次の吸入時間が近い場合は、その回は吸入を休止し、次の吸入時間タイミングまで待ちます。

使用を忘れても、1度に2回分は吸入できません。

過量投与したときは

1度に決められた量より多く吸入すると不整脈や頻脈、動悸といった症状が現れることがあります。

心停止にいたるケースもあるので、十分な注意が必要です。

だるさや吐き気、嘔吐、力が入らない、食欲不振などの症状が現れた際は、すぐにシムビコートの使用を中止し、医療機関を受診します。

よくある質問

シムビコートや小児気管支喘息について、よくいただく質問をまとめました。

  • 何歳から吸入薬が使える?
  • 小児気管支喘息の登園の目安は?
  • シムビコートの効果はどれくらいで出る?

何歳から吸入薬が使える?

何歳から吸入薬が使えるかは、使用する薬によって異なります。

5歳以上にならないと使えない薬が多いのですが、なかには生後6ヶ月から使用できる吸入薬もあります。

年齢を問わず喘息、特にアトピー性喘息と診断したら吸入ステロイド薬を使用します。

吸入薬を正しく服用するのは、ある程度大きくならないと難しいので、年齢が小さな子どもはネブライザー(吸入器)やスペーサーという器具を使います。

小児気管支喘息の登園の目安は?

小児気管支喘息の発作は、小発作・中発作・大発作・呼吸不全と4段階にわけられます。

登園・登校ができるのは、小発作までです。

小発作は、せきや喘鳴、軽い陥没呼吸や呼吸困難が見られるものの、日常生活に支障が出ない程度の発作を指します。

会話や睡眠、食事など日 常生活に支障が出ているときは登園・登校せず、早めに医療機関を受診してください。

シムビコートの効果はどれくらいで出る?

従来の吸入ステロイド薬の場合、効果が出るまで1週間程度必要でしたが、シムビコートはような炎症を抑える薬と気管支を拡張する薬が配合されおり、使用を始めたその日から効果が実感できるとされます。

まとめ

炎症を抑える薬と気管支を拡張する薬が配合されているシムビコートは、速やかに発作を鎮めてくれる優れた喘息の薬です。

しかし、現在は小児には使えません。

喘息、特にアトピー性喘息と診断された場合には、年齢に応じて選択された吸入ステロイド薬が処方されます。

なかには生後6ヶ月から使用できる吸入薬もありますので、医師に相談して、年齢や症状にあわせた薬を使いましょう。

また、成長しても喘息に悩まされているようなら、改めて医師とシムビコートの使用を検討してください。

監修医師

古東麻悠(ことう・まゆ)

順天堂大学医学部卒業。途上国医療に関心を持ち、学生時代よりアジア・アフリカ各国の保健指導、巡回診療に参画。子どもたちのトータルサポートを目指し、小児科医として働きながらNPO法人very50、NPO法人Ubdobe(現株式会社デジリハ)のメディカルアドバイザーを兼務。現在は都内総合周産期病院にて新生児科医として勤務。一児の母。