子どもの急なのどの痛み。
「原因はなに?」「病院に行くべき?」と不安に思う人も多いのではないでしょうか?
中には扁桃腺が腫れたり、発疹が出たりするケースもあり、原因は風邪や感染症など多岐にわたります。
本記事では、子どもの「のどの痛み」について、病院に行くべき症状や7つの疾患など詳しく解説します。
対処法や予防法も解説しているので、参考にしてみてください。
目次
【今すぐチェック】病院に行くべき7つの症状
以下のような症状がある場合は、医療機関を受診しましょう。
- 水分がとれない・つばが飲み込めない
- 発熱・下痢などの他の症状が出ている
- 半日以上おしっこが出ない
- 息がしづらい様子がある
- 嘔吐などをしている
- 呼びかけてもぐったりしている
- 痛み止めが必要なほどのどに痛みがある
このような症状があれば、小児科を受診しましょう。
のどが痛いときに考えられる7つの疾患
のどの痛みは、さまざまな原因が考えられます。
原因として考えられる7つの疾患を詳しく解説します。
- のど風邪(咽頭炎)
- 溶連菌感染症
- アデノウイルス感染症
- 扁桃炎
- 麻疹
- ヘルパンギーナ
- 流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)
- 手足口病
症状である程度の疾患を疑えますが、似た症状を持つ疾患も多くあります。
最終的な診断は医師に任せましょう。
のど風邪(咽頭炎)
のど風邪は「咽頭炎」と呼ばれ、急性咽頭炎と慢性咽頭炎の2つに分けられます。
急性咽頭炎は、ウイルスや細菌などの感染により、発熱やのどの痛みなどの症状が現れます。
症状が重篤化し、食事の摂取が困難になると入院のケースもあるので注意が必要です。
慢性咽頭炎は、長期間にわたるのどの違和感や飲み込みにくさなどの症状が現れます。
原因はさまざまで、ウイルスや細菌の感染だけでなく、胃酸の逆流、自己免疫疾患なども関与します。
溶連菌感染症
溶連菌感染症は、溶血性レンサ球菌という特定の細菌によって引き起こされる疾患です。
侵入部位や組織の種類により、多様な症状をもたらします。
急性咽頭炎、膿痂疹、蜂巣織炎、また特異的な疾患である猩紅熱などが挙げられます。
中耳炎、肺炎、化膿性関節炎、骨髄炎、髄膜炎など、他の重篤な疾患を誘発するケースもあるでしょう。
感染は、突然の発熱、全身的な倦怠感、そして咽頭痛といった症状で現れ、嘔吐が伴うこともあります。
舌に赤いぶつぶつができる苺舌の症状が現れることもあるでしょう。
アデノウイルス感染症
アデノウイルス感染症も、さまざまな疾患を招きます。
特に咽頭結膜熱が一般的です。プールの水によって感染が広まっていたことから、プール熱とも呼ばれています。
主な症状は、高熱、のどの痛み、結膜炎があります。
39〜40度の高温と37〜38度の微熱の間で熱が変動する状態が、おおよそ4〜5日間続くのが特徴です。
頭痛、腹痛、下痢といった症状が現れ、耳介前部や頸部のリンパ節の腫脹もしばしば観察されます。
扁桃炎
扁桃炎は、のどの奥の扁桃部分が細菌やウイルスに感染し炎症を起こす疾患です。
激しいのどの痛みや飲み込むときの痛み、高熱などの症状を引き起こします。
扁桃の膿を取り除く、うがい、抗菌薬の服用などの治療法があります。
しかし、食事の摂取が困難な場合は、点滴や入院が必要な場合もあるでしょう。
麻疹
麻疹は、麻疹ウイルスが引き起こす感染症です。
初期症状は風邪と似ており、発熱、咳、のどの痛み、体のだるさなどがあります。
乳幼児の場合、8~30%の割合で消化器系の症状(下痢、腹痛)が加わることがあるでしょう。
発疹が現れる1~2日前には、口内の頬側にコプリック斑と呼ばれる白い小さな斑点が現れます。
熱が一度下がった後、再び発熱し、全身に小さな赤い発疹が広がります。
麻疹は予防接種で予防可能で、予防接種を受けることで症状を軽減できます。
ヘルパンギーナ
コクサッキーウイルスA群による感染症であるヘルパンギーナは、特に初夏から秋にかけて乳幼児によく見られる夏風邪の一種です。
2〜4日の潜伏期後、急激に38〜40度の高熱が出て、1〜3日間持続します。
全身の倦怠感や食欲不振、のどの痛み、嘔吐、手足の痛みが伴うことがあります。
口の中に、1〜5mmの大きさの水疱が現れることもあり、痛みを伴うでしょう。
流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)
流行性耳下腺炎は、一般的に「おたふくかぜ」として知られる疾患で、ムンプスウイルスによって引き起こされます。
耳下腺の腫れと痛みが主な症状です。
両耳または片側の耳下腺が腫れ上がり、かむときに顎が痛む症状が現れ、発熱も同時に数日間起こります。
耳下腺の腫れは痛みを伴い、やわらかい腫れが見られるでしょう。
他の唾液腺が腫れることもあります。
腫れた部分の皮膚は、赤くなります。しかし、膿は排出されません。
手足口病
手足口病とは、エンテロウイルスやコクサッキーウイルスなどに感染することで起こる感染症です。
手足口病にかかって口内炎ができることで、口の中や喉が痛くなることがあります。
また、手足・膝・肘などの水ぶくれや、38℃以下の発熱を発症します。
潜伏期間は3日~5日とされており、現在、手足口病の特効薬はありません。
子どもが「のどが痛い」と訴えるときの3つの対処法
すぐに医療機関へ行く症状がない場合や、受診後の家庭で実践できるいくつかの対処法を解説します。
- 水分補給をさせる
- 安静にする
- のどごしがよいものを食べさせる
それぞれ解説します。
水分補給をさせる
のどが痛いときには、脱水症状を防ぐために水分補給が重要です。
スポーツドリンクのような塩分と糖分が含まれる飲み物を与えることで、水分と栄養の補給をサポートします。
しかし、痛みが強く水分摂取が困難な場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。
空気の乾燥を防ぐのも重要です。乾燥する季節は加湿器を利用しましょう。
マスクを着用すると、のどの湿度を保ち、乾燥を防げます。
安静にする
次に安静にしてのどを休ませましょう。
活発な運動や大声を出す行為は、のどに負担をかけ、痛みが増すことがあります。
夜更かしは避けて、早めに就寝して体力を温存させましょう。
安静時は、読み聞かせなどの体を動かさないものを選び、静かに過ごすように心掛けてみてください。
のどごしがよいものを食べさせる
のどの痛みがあると食事がとりにくいので、適切な食事が大切です。
のどをいたわりつつ必要な栄養を意識して与えましょう。
すりつぶした野菜や卵を入れたおかゆや茶わん蒸しなど、のどごしがよいものが適切です。
のどを刺激することなく栄養補給ができ、飲み込むときの負担も軽減します。
反対に、熱すぎたり辛すぎたりする食べ物は避けてください。
のどに刺激を与え、痛みが増すこともあります。
のどを傷つけるかたい食べ物も控えましょう。
子どもがのどを痛がる前に|日頃の予防方法
日常的に実践できる予防方法をご紹介します。
- 手洗い・うがい
- アルコール消毒
- マスクの着用
基本的な対策でありながら、予防に有効です。
手洗い・うがい
外から帰ったときや食事前など、頻繁に手を洗いましょう。手に付着した細菌やウイルスを排除するため、徹底的な手洗いが重要です。うがいも大切で、口腔内の細菌やウイルスを洗い流す効果があります。
アルコール消毒
アルコール消毒も予防に効果的です。
しかし、アルコール消毒の効果が期待できないウイルスもあるので注意しましょう。
手洗いができない場面などでの活用が適切です。
テーブルやドアノブなど、よく触れる部分の消毒にも有効です。
マスクの着用
マスクを着用することでウイルスや細菌の侵入を防ぎ、感染リスクを軽減できます。
特に人が混雑した場所や季節的に感染症が流行する時期には、マスクの着用が重要です。
ウイルスがのどに進入するのを防止し、のどの湿度を維持することで、感染予防や痛みの緩和になります。
よくある質問
さまざまな疑問を解決するために、以下の一般的な質問を取り上げて説明します。
子どもがのどを痛がるときはどうすればいい?
子どもがのどを痛めている場合、適切な水分補給と食べやすい食事、安静を保つことが重要です。
しかし、痛みがひどい場合は、医療機関を受診してください。
のどが痛いときにやってはいけないことは?
大声を出す行為や活動的な運動は、控えるようにしましょう。
十分な休息時間を確保し、安静にすることが大切です。
のどが痛いときに食べやすいものは?
のどが痛いときには、栄養豊富でのどごしがよいものが適切です。例えば、すりつぶした野菜や卵を入れたおかゆや茶わん蒸しなどが適しています。
よく風邪をひく子どもの特徴は?
頻繁に風邪をひく子どもには、以下のような特徴がある可能性が一部では言われています。
未発達の免疫システム、基本的な衛生習慣の欠如、十分な休息の不足などです。
これらの課題に対応し、健康的な習慣を促進することで、風邪をひきやすい状況の改善が可能です。
まとめ
子どもがのどの痛みを訴えた場合、痛み止めが必要なほどの症状や水分がとれないなどの症状があれば、早急に医療機関を受診することが重要です。
本記事で紹介した「病院に行くべき7つの症状」を参考にしてみてください。
緊急性が低く、医師から自宅での療養と判断された場合は、以下の3つの対応を心掛けてみましょう。
- 水分補給をする
- 安静にする
- のどに優しい食事をする
予防策として手洗い・うがい、アルコール消毒、マスクの着用を日常的に意識するのも効果的です。
ウイルスや細菌の感染リスクを軽減する基本的な予防方法です。
どのような症状でも異変を感じた場合は、すぐに医療機関を受診してください。
監修医師
古東麻悠(ことう・まゆ)
順天堂大学医学部卒業。途上国医療に関心を持ち、学生時代よりアジア・アフリカ各国の保健指導、巡回診療に参画。子どもたちのトータルサポートを目指し、小児科医として働きながらNPO法人very50、NPO法人Ubdobe(現株式会社デジリハ)のメディカルアドバイザーを兼務。現在は都内総合周産期病院にて新生児科医として勤務。一児の母。