白色便下痢症(ロタウイルス性胃腸炎)とは、主に子どもを中心に冬場に流行する感染症です。
便が白いので「どのような病気なの?」「受診すべき?」と不安に思う保護者も多いのではないでしょうか?
本記事では、白色便下痢症の原因や対応方法について解説します。
受診すべき症状も記載しているので、チェックしてください。
目次
白色便下痢症(ロタウイルス性胃腸炎)とは?
白色便下痢症(ロタウイルス性胃腸炎)は、ロタウイルスに感染して発症する胃や腸に炎症を起こす病気です。
子どもがかかりやすく、下痢と白っぽい便が特徴です。
ウイルスの潜伏期間は1〜3日で、感染後すぐに症状がでるわけではありません。
6か月から2歳までに一度は経験する病気で、季節的には秋から冬にかけて発症しやすい傾向にあります。
白色便下痢症の症状
白色便下痢症の主な症状は以下の表の通りです。
便の特徴 | 白色で水っぽい便 |
便の色以外に見られる症状 | 激しい嘔吐や下痢、微熱など |
原因 | ロタウイルスに感染し、胆汁の分泌が阻害されるため |
よく見られる年齢 | 6か月から2歳 |
心配される合併症 | 脱水症状 |
白色便下痢症の特徴は、便が白く見えることです。
この便は水っぽく、1日に何度もでます。
また、激しい嘔吐もあるでしょう。
37度くらいの微熱を出す患者さんもいらっしゃいます。
白色便下痢症の感染経路
白色便下痢症は主に経口感染で、人から人へと広がります。
たとえば、感染者の便や嘔吐物に直接接触したり、感染者の乾燥した排泄物のチリが口に入って感染したり、感染者が触れた物(ドアノブ、手すりなど)を通じて他の人が感染するケースなど感染経路にはいろいろあります。
適切な衛生管理と手洗いが重要な感染対策になる疾患です。
白色便下痢症ですぐに受診すべき症状
以下の症状があるときは、すぐに医師の診断を受けてください。
- 繰り返し嘔吐する
- 元気がなく、ぐったりしている
- 下痢の他に、機嫌が悪い、食欲がない、発熱、嘔吐、腹痛などの症状がみられる
- 脱水症状がみられる(下痢と一緒に嘔吐する、水分が摂れない、唇や舌が乾いている、尿が半日以上出ない、尿の量が少なく色が濃い
- 米のとぎ汁のような白色水様便が出る
- けいれんを起こす
保護者は、子どもの様子をしっかりと確認し、医師に症状を正確に伝えられるようにしましょう。
白色便下痢症の際の水分補給と食事の方法
白色便下痢症の水分補給と食事の方法について説明します。
自宅での療養と判断された際の参考にしてください。
水分補給の方法
下痢や嘔吐で大量の水分を失うと、脱水症状の危険があります。
嘔吐してすぐに水分を与えると、また嘔吐することもあるので、少し時間を置いてから水分を与えましょう。
また、一度に多量の水分を摂取するのも嘔吐を誘発しやすいので、少しずつ頻繁に与えてください。
水分は体内で吸収しやすい経口補水液を使用するとよいでしょう。
食事の方法
嘔吐や下痢がおさまったら、温かくやわらかい消化によい食事を与えましょう。
具体的にはは、お粥やうどん、柔らかく煮た白菜や豆腐などがいいでしょう。
反対に、いちごや梨、みかん類、生野菜、肉、卵などは消化に時間がかかり、下痢症状を悪化させることがあるので、避けてください。
白色便下痢症に対する家庭内での感染予防方法
ロタウイルスは非常に感染力が強いため、一般的な予防法を徹底する必要があります。
家庭内では、以下の対策を参考にしてください。
- おむつ交換は場所を決めて行う
- 処理をする際は手袋をする
- おむつ交換は専用シートの上でおこない、作業後シートを清拭する
- お尻がただれないように、こまめに清拭する
- 便や嘔吐物はビニール袋に入れて処理し手洗いをする
- 汚れた衣類などは次亜塩素酸を使って消毒する
便や嘔吐物からウイルスが排出されていることを意識して、以上の対策を行いましょう。
白色便下痢症以外にもある「白っぽいうんち」が出る病気
白色便下痢症以外の病気でも、白っぽいうんちが出る場合があります。
主な病気を解説します。
緊急性の高いもの
「先天性胆道閉鎖症」と「胆のう炎」は、白っぽい便がでる病気の中でも特に緊急性が高く注意が必要です。
「先天性胆道閉鎖症」は生まれつき胆道がない、または極端に狭い状態の疾患です。
胆汁が消化系に適切に流れ出ず、便が白くなります。
生後2週間から1か月くらいで発見され、手術が必要となるケースがあります。
「胆のう炎」は、肝臓から十二指腸までの胆道の感染症で、白い便が出るケースがあります。腹痛があります。
生まれてからずっと白い便が出ていたり、白い便が出て、お腹を痛そうにするなら、直ちに医療機関を受診してください。
しばらく様子を見ても問題ないもの
消化不良も白っぽい便の原因になります。
脂肪の多い食事をして消化不良が起きると白い便が出ることもあります。
通常は食事内容の見直しや、適度な休息で自然に改善しますが、症状が続く場合は医師の診断を受けましょう。
白色便下痢症に関するよくある質問
白色便下痢症に関するよくある質問をまとめました。
白色便下痢症に関する予防接種はありますか?
白色便下痢症の原因となるロタウイルスのワクチンは、定期接種として、出生6週0日後から接種を受けることができます。
ワクチンは液体で、飲むワクチンです。
ロタウイルスワクチンには、2種類あります。
接種周期はワクチンによって違いますので、1回目に接種を受けた医療機関で説明を受けましょう。
白色便下痢症の赤ちゃんに欲しがるだけ母乳やミルクをあげてもよいでしょうか?
母乳やミルクを控える必要はありませんが、1歳以上で牛乳を飲む習慣がある子に対しては、牛乳を控えてみてください。
白色便下痢症の場合、いつから登園・登校できますか?
下痢、嘔吐、発熱がおさまれば、登園・登校は可能です。
しかし、便や嘔吐物には大量のウイルスが混入しているので、登園時には白色便下痢症であったことを伝えましょう。
白色便下痢症ですが熱はなく元気です。外遊びさせてもよいでしょうか?
症状が軽く、水分補給が十分にできているなら、短時間の外出も可能です。
ただし、他の子どもとの接触は極力避けるよう注意しましょう。
白色便下痢症の子どもをお風呂に入れてもよいでしょうか?
熱が高くなく機嫌がよければ、問題ないでしょう。
下痢をしていると肌が荒れやすくなるので、清潔に保つことも重要です。
白色便下痢症には症状や感染経路を理解し適切な対応を
白色便下痢症(ロタウイルス性胃腸炎)は、ロタウイルスによって引き起こされ、特に6か月から2歳の子どもに多く見られます。
感染した後の潜伏期間は1〜3日で、主な症状は白色で水っぽい便や激しい嘔吐、微熱などです。
患者は下痢や嘔吐で大量の水分を失い、脱水症状を引き起こす恐れがあるので、水分補給が重要になります。
嘔吐直後は、また吐いてしまうのを防ぐために時間を置き、少量の水分を頻繁に与えましょう。
また、消化に良い食事を与えることを意識してください。
監修医師
古東麻悠(ことう・まゆ)
順天堂大学医学部卒業。途上国医療に関心を持ち、学生時代よりアジア・アフリカ各国の保健指導、巡回診療に参画。子どもたちのトータルサポートを目指し、小児科医として働きながらNPO法人very50、NPO法人Ubdobe(現株式会社デジリハ)のメディカルアドバイザーを兼務。現在は都内総合周産期病院にて新生児科医として勤務。一児の母。