便の色や形で体の調子を判断する方もいるでしょう。
しかし、子どもの便の色が黒かったとき、心配になりますよね。
「何かの病気が隠れている?」「どのような対応をすればよい?」と不安に感じてしまうこともあるのではないでしょうか。
本記事では、黒い便の原因や受診が必要なケースについて解説します。
対応方法も解説しているので、参考にしてください。
目次
子どものうんちが黒い場合に考えられる原因は?
便が黒い場合の原因について見ていきましょう。
消化器のトラブル
便の特徴 | コールタールのような便(ねっとりとしていて黒い便) |
便の色以外に見られる症状 | 腹痛などの不調、体力の低下 |
原因 | 胃や十二指腸など消化器系の上部の出血 |
便の色が黒く、コールタールのような状態に見えることがあります。
これは「タール便」と呼ばれ、消化器系の上部、特に胃や十二指腸などの出血が原因として考えられます。
便が黒いのは、出血した血液が消化過程で変化し、黒く変わった結果です。
小児は稀ですが、急性胃腸炎、胃・十二指腸潰瘍が疑われます。
便秘
便の特徴 | コロコロした便 |
便の色以外に見られる症状 | 便の回数が少ないか、出にくい |
原因 | 腸内環境の悪化 |
黒くてコロコロした便が出ている場合は、便秘が原因かもしれません。
排便がうまくできず大腸に残ってしまうと、大腸が便の水分を吸収してしまうので、固い便になります。
肛門が切れて血が出てしまうと鮮紅色の便がでますが、体内で出血している際の血便が酸化して黒くなっている場合もあります。
一概に便秘とは言えないので、注意してください。
子どもが黒いうんちをしたらすぐに受診が必要?
子どもが黒い便をした際の受診の有無について解説します。
すぐに受診が必要なケース
「消化器のトラブル」を示す症状が見られた場合はすぐに医療機関を受診しましょう。
便がドロドロとした黒色のケースや、血便が出る場合は、胃や十二指腸などから出血している可能性があります。
このような便の色が気になる場合は、まず写真を撮って医師に見せてください。
直接便を持参すると、時間が経って変色してしまうこともあるので注意しましょう。
しばらく様子をみて問題ないケース
一方で、「便秘」や「食事・薬の影響」による黒い便の場合は、すぐに受診する必要はありません。
鉄剤の摂取後に一時的に便が黒くなる場合は心配しなくてもよいですが、念の為、次回の受診日に黒い便が出たことを医師に伝えるとよいでしょう。
しかし、便秘の症状があるときや便をするときにとても痛い思いをしたり、苦しんだりしている場合は注意が必要です。
慢性の便秘症に繋がるケースがあるので、できる限り医療機関を受診しましょう。
子どもが不快感を訴えるなど他の症状が現れた場合も、医療機関にかかることをおすすめします。
子どもが黒いうんちをした場合に家庭で気をつけるべきこと
子どもが黒い便を排出した際に家庭で気をつけるべきポイントを解説します。
「消化器のトラブル」の便が出ている場合は、家庭で対策をせず、すぐに医療機関を受診して医師の指示に従ってください。
食事について
子どもの便色は食事内容で、大きく影響を受けます。
黒い便の場合は海苔などの海藻類やイカ墨、肉類やチョコレート、ココアなどの摂取が考えられます。
このような食材を多量に摂取した後に黒い便が出ることがあれば、食事内容の見直しを検討してみてください。
また、便秘を解消するには、食物繊維やヨーグルト、乳酸菌飲料をとることも意識してみましょう。
食物繊維を適量摂取することで、便に水分が含まれ便通がよくなります。
豆製品、キノコ類、フルーツなど食物繊維が豊富な食べ物をとりましょう。
腸の健康を維持するために、ビフィズス菌や乳酸菌などの有益な菌を含む食品も有効です。
ストレス解消について
ストレスは便秘を引き起こす一因になります。ストレスが原因の場合、原因を解消してあげれば便秘対策に繋がるでしょう。
子どもが楽しいことをする、コミュニケーションを取る、スキンシップをする、などの対策をとり、手助けをしましょう。
生活習慣や環境の変化で便秘になることもあります。ストレスに気づいてあげて、寄り添うことを意識してください。
便秘対策について
便秘対策のポイントは以下の通りです。
- 食物繊維の摂取
- 適切なトイレトレーニング
食物繊維を適量摂取することで、便に水分が含まれ便通がよくなります。
食物繊維が豊富な食品(例:おから、さつまいも、かぼちゃなど)を食べさせてください。
また、トイレトレーニングを始める年齢になると、うまくいかないときに叱られるのを恐れて、便意を抑制してしまう可能性もあります。
排便がスムーズに行えたときに積極的に褒めることで、トイレトレーニングが円滑に進むでしょう。
子どもの黒いうんちに関するよくある質問
子どもの黒いうんちに関するよくある質問をまとめました。
トイレトレーニングを始めてからよく便秘で黒いうんちをするようになりました。厳しくトレーニングしすぎでしょうか?
うまくいかないときに叱ってしまっている場合、恐れて便意を抑制してしまうかもしれません。
排便がスムーズに行えたときには積極的に褒めることで、トイレトレーニングを円滑に進められるでしょう。
何日程度うんちが出ない場合、便秘だと判断すればよいですか?
一般的には週に3回未満、または3日以上便が出ない場合は便秘と判断できます。
排便が毎日あっても苦痛を伴ったり、肛門が切れたりする場合も便秘の可能性があるでしょう。
黒というよりも赤黒い便です。緊急性が高いでしょうか?
赤黒い便は消化管からの出血の可能性があります。
消化管のどの部分で出血が起きているかにより、便の色は変わります。
中には緊急を要する病気が隠れていることもあるので、医療機関を受診してください。
薬の影響で便が黒くなっていると考えられます。薬を飲ませるのを親の判断でやめさせてよいですか?
鉄剤など、一部の薬物には便色が黒くなるケースがありますが、過度に心配する必要はありません。
必ず医師に相談してから薬の服用中止の有無を判断してください。
子どもの黒いうんちは原因を理解し適切な対応を
便の色は、病気を知らせてくれる1つの指標です。
子どもの便が黒くねっとりとしている「タール便」のようになっている場合は消化器系、特に胃や十二指腸の出血を示唆することがあります。
その場合、腸重積や感染性胃腸炎などの疑いがあるので、すぐに医療機関を受診しましょう。
一方で、便秘や食事・薬の影響によって便が黒くなる場合もあります。
鉄分製剤の摂取により便が一時的に変色することもあるため、即座の受診は必要ありません。
また、便秘が原因で痛みや苦しみを感じる場合や、慢性的な便秘症状がある場合は、速やかに医療機関を受診してください。
子どもが何らかの不快感を訴えた場合も、医療機関の受診をおすすめします。
監修医師
古東麻悠(ことう・まゆ)
順天堂大学医学部卒業。途上国医療に関心を持ち、学生時代よりアジア・アフリカ各国の保健指導、巡回診療に参画。子どもたちのトータルサポートを目指し、小児科医として働きながらNPO法人very50、NPO法人Ubdobe(現株式会社デジリハ)のメディカルアドバイザーを兼務。現在は都内総合周産期病院にて新生児科医として勤務。一児の母。