2023.08.15

マイコプラズマ肺炎とは? |症状や治療方法を解説

マイコプラズマ肺炎は、子どもによく見られる呼吸器感染症です。

「症状はどのようなものがあるの?」「家庭ではどのように対応するべき?」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。

本記事では、マイコプラズマ肺炎の基本的な知識から治療法、家庭での適切な対応方法について詳しく解説しています。

しっかりと理解を深め、子どもを守るための知識を身につけましょう。

目次

マイコプラズマ肺炎とは?|原因や感染経路

マイコプラズマ肺炎について、原因や潜伏期間、感染経路について詳しく見ていきましょう。

マイコプラズマ肺炎とは?

マイコプラズマ肺炎は呼吸器感染症の一種です。主な症状は、発熱や全身倦怠感(だるさ)、頭痛、痰を伴わない咳などが見られます。

過去には、1984年と1988年に全国的な大流行が記録されていますが、その後は大規模な流行は見られていません。

しかし、マイコプラズマ肺炎の感染自体は1年を通じて発生しやすく、特に秋から冬にかけて感染者が増える傾向があります。

マイコプラズマ肺炎の原因

マイコプラズマ肺炎の原因は「マイコプラズマ・ニューモニエ」という細菌に感染することで発症します。

マイコプラズマ・ニューモニアは、細胞壁を持たないのが特徴で、一般的な細菌と異なり、多くの抗生物質に対する耐性を持っています。

体内に侵入後、粘膜表面で増殖し、上気道から肺までの組織に影響を与えます。

マイコプラズマ肺炎の潜伏期間

マイコプラズマ肺炎の潜伏期間は、通常2〜3週間です。潜伏期間が長いため、知らないうちに感染を広げるケースもあるので注意が必要です。

マイコプラズマ肺炎の感染経路

感染経路は、飛沫感染と接触感染の2種類です。

飛沫感染は患者が咳やくしゃみをした際に発生する飛沫を、他の人が吸い込むことで起こります。

接触感染は、患者と直接触れ合ったり、患者が触れた物を触ったりすることで発生します。感染は家庭内だけでなく、学校やその他の集団生活を行う施設でも見られます。

マイコプラズマ肺炎に罹患しやすい年代

マイコプラズマ肺炎は全年齢が罹患しますが、幼児期、学童期、青年期が感染しやすいといえるでしょう。

例年、患者の約80%は14歳以下で、基本的には7〜8歳でピークを迎えます。

マイコプラズマ肺炎の症状と合併症

マイコプラズマ肺炎の症状と合併症について見ていきましょう。

マイコプラズマ肺炎の症状

初発症状としては発熱、全身の倦怠感、頭痛などが主に見られます。初期症状が出てから3〜5日後に乾性の咳が始まるのが特徴です。

また、始まりはコンコン、ケンケンといった乾いたものですが、経過とともに徐々に強くなります。

熱が下がった後も咳が続くことがあり、約3〜4週間続きます。

マイコプラズマ肺炎の合併症

マイコプラズマ肺炎の合併症は、中耳炎、無菌性髄膜炎、脳炎、肝炎、貧血、関節炎が挙げられます。

体力があり、免疫反応も強い若い人や子どもは体が菌に対して強い反応を示し、病状を悪化させるケースがあります。入院が必要になることもあるため、経過観察時は注意が必要です。

マイコプラズマ肺炎の検査・治療方法

マイコプラズマ肺炎の検査・治療方法について解説します。

マイコプラズマ肺炎の検査方法

マイコプラズマ肺炎の診断は、病状の詳細な調査、胸部レントゲンによる画像検査が初期段階です。

このような診察で、感染が疑われる場合、血液検査や喉からの遺伝子検査が行われ、マイコプラズマ肺炎と診断されます。

咳が長期化する場合は、結核や百日咳、喘息も考慮に入れながら、適切な診断と治療を進めましょう。

マイコプラズマ肺炎の治療方法

マイコプラズマ肺炎は、一般的な抗生物質では治療効果がありません。そのため、マクロライド系の抗生物質が主に使用されます。

近年、マクロライド系に耐性を持つマイコプラズマが増加していますが、他の有効な薬剤も存在するため、治療経過に応じて薬剤が変更されることがあります。

重症化し入院が必要な場合もありますが、大半は軽症で、適切な治療により回復します。医師の指示に従い、病状の進行を適切に把握しましょう。

マイコプラズマ肺炎が治癒するまでの期間

マイコプラズマ肺炎が治癒するまでの期間について解説します。

マイコプラズマ肺炎が治癒するまでの期間

マイコプラズマ肺炎は、マクロライド系の抗菌薬を7~10日間服用することで一般的に治療されます。

しかし、頑固な咳がしばらく続くことがあります。抗菌薬を服用してもすぐには咳が止まらず、治療を開始してから2〜4週間は咳に悩まされる傾向にあるのが一般的です。

適切な医療指導の下、症状の改善を待ちましょう。

マイコプラズマ肺炎は何度もかかるのか?

マイコプラズマ肺炎に罹患した場合、一度で永久的な免疫が得られるわけではありません。

マイコプラズマには再感染のリスクが存在します。数年経つと再感染する可能性があり、場合によっては1年程度で再び罹患することも報告されています。

健康管理には常に注意を払うことが重要です。

マイコプラズマ肺炎の予防方法

マイコプラズマ肺炎には、特定の予防ワクチンはありません。そのため、予防策は基本的な衛生習慣が重要です。

流行期には手洗いやうがいを徹底し、可能な限り患者との密接な接触の回避が推奨されます。また、咳が長引く場合には、家族への感染を防ぐためにも早めに医療機関を受診しましょう。

子どもがマイコプラズマ肺炎にかかった場合の家庭での対応

子どもがマイコプラズマ肺炎にかかった場合の家庭での対応について説明します。

咳でつらそうなときの対応

まずは医療機関で適切な診断と抗菌薬の処方を受けることが重要です。

また、喉の乾燥は咳を悪化させるため、水分をこまめに摂取し、室内の湿度を保つことで喉の潤いを保つとよいでしょう。必要に応じてマスクを着用してください。

マイコプラズマ肺炎にかかっているときにおすすめの食べ物

マイコプラズマ肺炎に罹患している際は、消化のよい食べ物を摂りましょう。食欲が出てきたら、消化しやすく喉に優しいおじや、うどんなどがおすすめです。

一方で、喉が痛い場合や咳がひどい時は、柑橘類や辛いもの、刺激物は避けてください。

これらの食べ物は咳を悪化させる可能性があり、喉の回復を遅らせる可能性があります。健康を維持するためには、適切な食事と休息が重要です。

マイコプラズマ肺炎に関するよくある質問

マイコプラズマ肺炎についてのよくある質問をまとめました。

子どもがマイコプラズマ肺炎にかかりました。登園・登校させても良いですか?

症状が軽く、体調がよい場合でも、感染リスクを考えると医師と相談の上決定することが望ましいです。

マイコプラズマ肺炎の家庭内感染を防ぐ方法は?

日常的な手洗い、うがいの徹底や、家庭内でのマスクの使用などが有効です。

また、個々で食器を使用したり、各々が別のタオルを使用したりするよう心掛けましょう。

マイコプラズマ肺炎が疑われる場合、何科を受診すれば良いですか?

まずは内科、もしくは小児科(子どもの場合)を受診してください。

マイコプラズマ肺炎は自然治癒しますか?

マイコプラズマ肺炎は自然治癒する可能性もありますが、基本的に抗生物質の治療が必要です。医療機関を受診し、医師に治療方法の判断をしてもらいましょう。

マイコプラズマ肺炎の罹患が疑われたら素早い受診と適切な対応を

マイコプラズマ肺炎はマイコプラズマという細菌によって引き起こされる肺炎の一種です。主な症状としては発熱、喉の痛み、頭痛、咳などが挙げられます。

特にマイコプラズマ肺炎の特徴としては、頑固な咳が続きやすいのも特徴の1つです。

検査方法には、臨床経過や胸部レントゲン、血液検査、喉からの遺伝子検査などが行われるでしょう。

治療期間中は一般的に抗菌薬を7日~10日間服用しますが、咳は2~4週間続く場合があります。根気よく治療を行ってください。なお、マイコプラズマ肺炎は一度罹患しても再感染する可能性があります。

予防方法としては、流行期には手洗い、うがいなどの一般的な予防法と、患者との濃厚接触の回避が重要です。咳が続く場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

監修医師

古東麻悠(ことう・まゆ)

順天堂大学医学部卒業。途上国医療に関心を持ち、学生時代よりアジア・アフリカ各国の保健指導、巡回診療に参画。子どもたちのトータルサポートを目指し、小児科医として働きながらNPO法人very50、NPO法人Ubdobe(現株式会社デジリハ)のメディカルアドバイザーを兼務。現在は都内総合周産期病院にて新生児科医として勤務。一児の母。