子どもが体調を崩したら、保育園・幼稚園を休ませるかどうか決める必要があります。
「どのような症状なら休ませた方がよい?」「どの程度回復したら登園させてもよい?」など、保護者の方は判断に迷うこともあるのではないでしょうか。
本記事では、下痢・嘔吐・発熱・咳・発疹などの症状別に、子どもを休ませる基準と登園再開のタイミングについて詳しく解説します。
家庭での過ごし方についても説明しているので、参考にしてください。
目次
保育園・幼稚園を休ませる基準は定められている?
子どもを休ませる基準は、学校感染症として症状別に定められています。
学校感染症として定められている疾患について
まず、特定の感染症については「学校保健安全法関係法令」として定められ、該当する病気によっては、欠席すべき日数が指定されています。流行を広げる可能性のある感染症については、欠席が必要です。
保育園・幼稚園で独自の基準が設けられていることも
すべての病状に明確な欠席すべき日数が定められているわけではないので、保育園・幼稚園が独自の基準を設けているケースもあります。
特に感染症の中には、症状がおさまってからも、ウイルスが排出される病気もあります。感染拡大を防ぐために、登園を制限している場合もあるでしょう。
下痢で保育園・幼稚園を休ませる基準と家庭での対応
子どもに下痢の症状があったら、いつから保育園や幼稚園を休ませるべきか、休んでいる間の家庭でどう対応すればいいのか迷いますね。
ここからは、休ませる基準や家庭での対策について、詳しく解説します。
下痢で保育園・幼稚園を休ませる基準・目安
下痢で保育園・幼稚園を休ませる判断基準の目安は以下の2つです。
- 下痢症状がひどい・他の症状がある場合
水のような下痢が続く。食事や水分を摂ると下痢が誘発される。体温が平熱以上に高い。などの症状がある
- 脱水症状が見られる場合
排尿がない。不機嫌で元気がない。顔の色が悪く、だるい様子。などが見られる場合
下痢は、ノロウイルス等の感染性胃腸炎や食物中毒が原因で発症するケースもあります。嘔吐など、下痢以外の症状があれば、医師の診断を受けましょう。
下痢で休ませた保育園・幼稚園に登園可能な基準・目安
便が普段の回数に戻り、便に水っぽさがなくなった時点で、子どもの保育園への復帰を検討しましょう。
食事をしっかりと摂れて、下痢の回数が1日5回以下であれば登園できる目安です。あくまで目安なので、保育園や医師と相談しながら、適切なタイミングで登園を再開しましょう。
下痢の際の家庭での過ごし方
下痢の子どもが家庭で過ごす場合、感染予防や体調管理が大切です。
感染拡大を防止するため、手洗いや消毒などをこまめに実施しましょう。下痢を処理する際には、マスクやエプロンの着用をおすすめします。
下痢は、体内から水分を大量に排出してしまいます。脱水を防ぐために経口補水液などを少量ずつ頻繁に与え、水分補給をしっかり行うことが必要です。
食事については、量を少なめにし、消化のよいものを選びましょう。具体的には、揚げ物など脂っこいものや糖分・食物繊維が多かったり、スパイシーだったりすると、消化機能に負担をかけるので避けましょう。
また、頻繁な下痢では、お尻がただれやすいので清拭してあげましょう。元気があり発熱がみられなければ、入浴しても問題ありません。
水分補給がしっかりとできていて機嫌がよければ、短時間の散歩などで気分転換をしてもよいでしょう。
嘔吐で保育園・幼稚園を休ませる基準と家庭での対応
嘔吐で保育園・幼稚園を休ませる基準と、家庭での対応方法について解説します。
嘔吐で保育園・幼稚園を休ませる基準・目安
嘔吐で保育園・幼稚園を休ませる判断基準の目安は、以下の2つです。
- 24時間以内に何度も嘔吐し、体温が平熱よりも高い場合
- 食欲がなく、水分摂取も拒む。不機嫌で活力がなく、顔色が悪く体力が落ちている場合
嘔吐は、感染症の心配もあるので、医療機関の受診をおすすめします。
食事からしばらく時間が経過した後に嘔吐し、その他に風邪の兆候が見られなければ、保育園や幼稚園に出席してもよいでしょう。
食事量が多すぎて吐いたのかもしれませんし、なにか突発的な要因で嘔吐したのかもしれません。その後、元気にしていれば、特に休園の必要はありません。
嘔吐で休ませた保育園・幼稚園に登園可能な基準・目安
1日以上嘔吐せず、食事も通常の半分以上食べられて、食後に腹痛や吐き気を感じていなければ、登園しても問題ないでしょう。
医療機関を受診して感染症だった場合は、医師の判断にしたがって登園を決めましょう。
嘔吐の際の家庭での過ごし方
子どもが嘔吐したら、まずは感染予防の処置を行います。
具体的には、嘔吐物を覆い、感染の拡大を防ぎましょう。その後、うがいができるようならうがいをさせ、できなければ口内の残留物を取り除きます。
脱水症状が出ていないか注意しながら、可能であれば頭を横向きして寝かせます。そして、嘔吐後30〜60分が経過し、吐き気が無ければ、少しずつ経口補水液などの水分を摂らせましょう。
吐き気が続く場合や、食欲不振で体力が落ちているときは、入浴を避けましょう。
嘔吐がおさまって、水分もとれ元気があれば、外に短時間連れて行っても大丈夫でしょう。
発熱で保育園・幼稚園を休ませる基準と家庭での対応
発熱で保育園・幼稚園を休ませる基準と家庭での対応について解説します。
発熱で保育園・幼稚園を休ませる基準・目安
発熱で保育園・幼稚園を休ませる判断基準の目安は、以下の通りです。
- 24時間以内に体温が38度以上あったり、解熱剤を使用している場合
- 朝から37.5度以上の熱があり、さらに体調がすぐれない、食欲がなく朝食や水分をとることが困難な場合
一般的には、37.5度以上の熱があれば、欠席するように定めている保育園・幼稚園もあります。発熱したら、園に確認を取りましょう。
発熱で休ませた保育園・幼稚園に登園可能な基準・目安
基本的には体温が37.5度以下に安定していれば、登園可能です。
体調全般が良好で、食欲があり、水分をしっかりと摂れていることも確認しましょう。子どもの体調をよく観察し、保育園や医師と相談してから登園しましょう。
発熱の際の家庭での過ごし方
発熱すると、脱水症状が出やすいので、水分補給が大切です。経口補水液や湯冷まし、お茶などで水分補給をしましょう。
熱が高ければ薄着にし、寒がるようなら、毛布などで温めてあげましょう。高熱の際には、首のつけ根・脇の下・足の付け根を冷やすことが有効ですが、子どもが嫌がるようなら控えます。
熱がさがっても、しばらくは水分補給を続け、安静にしていましょう。30分ほど様子を見た後に再度検温し、また熱があがっていないか確認します。
入浴は、高熱がなく、子どもが元気であれば問題ありません。体調が悪い場合や高熱がある場合は浴槽に入るのは避け、シャワーか体を拭いて清潔に保ちましょう。
外遊びについては、体調が落ち着き、熱が下がってからにしてください。無理に活動させず、室内で適度に遊んであげましょう。
発疹で保育園・幼稚園を休ませる基準と家庭での対応
発疹で保育園・幼稚園を休ませる基準と家庭での対応について解説します。
発疹で保育園・幼稚園を休ませる基準・目安
発疹で保育園・幼稚園を休ませる判断基準の目安は、以下の通りです。
- 発熱とともに発疹がある場合
- 感染症による発疹の可能性がある、医師より登園を控えるよう指示があった場合
- 口内に発疹があり食事や水分が摂れない場合
- 発疹が顔にあり、患部をおおえない場合
- 浸出液が多く感染のおそれがある場合
- かゆみが強く、手で掻いてしまう場合
発疹は、水疱瘡や手足口病など、保育園・幼稚園での欠席を必要とする感染症の可能性があります。
もし発疹が出現したら、保育園・幼稚園を休み、医師の診察を受けましょう。
発疹で休ませた保育園・幼稚園に登園可能な基準・目安
病院を受診し、他の子どもへの感染リスクがないと医師から判断されれば、登園は問題ありません。
また、発疹があるものの、それが虫刺されやあせもなど感染症以外の原因であることが確かで、かつ、他の症状がなければ登園できるでしょう。
発疹が出ているの際の家庭での過ごし方
発疹が見られたら、部屋の環境や寝具にも注意が必要です。体温が上昇したり、汗をかくと、かゆみが増すため、適切な室温を保ち、換気を十分に行ってください。
長い爪は皮膚を傷つける原因になるため、短く切りましょう。肌に刺激の少ない綿100%の下着を着せるのも、おすすめです。
口内に発疹が出たら、痛みで食欲が落ちやすいので、水分の多いものや喉越しの良い食事を与えましょう。
また、発疹の形状、出ている場所、その進行状況、かゆみや痛みの有無など発疹をよく観察してください。体調がよく、活発な様子であれば、外に出ても問題ありません。
咳で保育園・幼稚園を休ませる基準と家庭での対応
咳で保育園・幼稚園を休ませる基準と家庭での対応について解説します。
咳で保育園・幼稚園を休ませる基準・目安
子どもが咳で保育園や幼稚園を休む判断基準の目安を以下に示します。
- 夜間に何度も咳によって目が覚める
- 呼吸が苦しい様子で、ゼイゼイ音やヒューヒュー音が聞こえる。
- 呼吸速度が速い
- 少しの動きでも咳が誘発される
咳は感染性疾患やアレルギー、乾燥状態などでも引き起こされます。
子どもの具体的な症状や体調を詳しく観察し、それに応じて保育園・幼稚園へ出席するか決めましょう。
咳で休ませた保育園・幼稚園に登園可能な基準・目安
咳がおさまり、食欲もある状態で機嫌も良ければ、登園しても問題ないでしょう。
可能であれば医療機関を受診し、医師から感染の危険性がないと判断してもらいましょう。
咳が出ているの際の家庭での過ごし方
咳が続くと体内の水分が失われやすくなるため、定期的に水分補給を行います。
少量でも頻回に水分を取れば、のどを潤し、咳を和らげられます。少量の湯ざまし、お茶などがおすすめです。
咳が強いときには、前かがみの姿勢にして背中をさすったり軽くたたくのも効果があります。特に乳児の場合、立て抱きしながら背中を軽くたたくとよいでしょう。
部屋の空気が乾燥すると咳が悪化することがあるので、湿度と温度の調整に注意しましょう。
咳が始まった最初の2~3日間は、入浴を控えましょう。咳がおさまっていれば、入浴は問題ありません。また、咳がひどくなければ、暖かい時間帯を選び、普段よりも遊びの時間を短く設定すれば、外遊びもできるでしょう。
鼻水で保育園・幼稚園を休ませる基準と家庭での対応
鼻水で保育園・幼稚園を休ませる判断基準と家庭での対応について解説します。
鼻水で保育園・幼稚園を休ませる基準・目安
子どもが鼻水を出している場合、鼻水の色を観察しましょう。
黄色の鼻水が出ていれば、感染症の疑い、緑色でドロドロしている場合、副鼻腔炎の可能性があります。普段と異なる鼻水が出ていれば、登園を控え医療機関を受診しましょう。
いつも通りのサラサラとして垂れやすい透明な鼻水や、白い鼻水は、一般的な風邪と考えられます。
鼻水で休ませた保育園・幼稚園に登園可能な基準・目安
医師と相談をして、問題がないと診断されれば、登園しても問題ありません。念の為、保育園・幼稚園にも、症状があることを伝えておきましょう。
鼻水が出ているの際の家庭での過ごし方
鼻水が出ているなら、頻繁に吸い取ってあげましょう。鼻水を自分で奥へ吸うことを防止するためにも、まだ鼻をうまくかめない子には、市販の吸い取り器が便利です。
鼻の下の皮膚を保護するために、軟膏を塗ることをおすすめします。
下痢・嘔吐・発熱などで保育園を休ませる基準に関するよくある質問
下痢・嘔吐・発熱などで保育園を休ませる基準に関するよくある質問をまとめました。
兄の通園している保育園では預かってもらえたのに、弟の通園している保育園では欠席させろと言われます。なぜでしょうか?
通園できるかできないかについては、保育園によって方針が異なることがあります。園の方針に従いましょう。
下痢はしていますが、元気です。家でなら外遊びをさせても良いですか?
下痢をしているときは、元気な様子でも、他の子どもへの感染防止のためにも、家で静かに過ごしたほうがおすすめです。
適度な運動は可能ですが、激しい運動は、下痢がおさまるまで避けましょう。
下痢や嘔吐の際に飲ませる経口補水液は自宅でも作れますか?
経口補水液は自宅でも作れます。水1リットルに対して、上白糖約40グラム(大さじ4と1/2杯分)と食塩約3グラム(小さじ1/2杯分)を混ぜて溶かします。
一度に飲まないのであれば、冷蔵庫に保管し、その日のうちに使い切ってください。
特に症状は出ていませんがなんだかぐったりして元気がありません。休ませるべきでしょうか?
いつも一緒にいる保護者の方の感覚は、とても大切です。ぐったりして元気がない場合、保育園・幼稚園を休み、すぐに医療機関を受診してください。
保育園を休ませるか悩んだらまず園へ確認を
欠席基準は特定の感染症に対し「学校保健安全法関係法令」で定められていますが、すべての病状について明確な日数は定められていません。
そのため、保育園・幼稚園が独自の基準を設けていることもあります。症状が出ている場合は、必ず保育園や幼稚園に確認しましょう。
また、症状別の目安や家庭での対応方法については本記事を、参考にしてください。
監修医師
古東麻悠(ことう・まゆ)
順天堂大学医学部卒業。途上国医療に関心を持ち、学生時代よりアジア・アフリカ各国の保健指導、巡回診療に参画。子どもたちのトータルサポートを目指し、小児科医として働きながらNPO法人very50、NPO法人Ubdobe(現株式会社デジリハ)のメディカルアドバイザーを兼務。現在は都内総合周産期病院にて新生児科医として勤務。一児の母。