子どもが風邪をひくと、親としては心配になりますよね。
「医療機関を受診するなら、どのタイミングが適切?」「家庭でどのように対応すればいい?」このように迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
本記事では、子どもの風邪について詳しく解説します。
病院に行く目安や、ホームケアの方法を紹介しますので、落ち着いて子どもの風邪に対応できるように、ぜひ最後までお読みください。
目次
そもそも風邪とは?何度もかかるのはなぜ?インフルエンザとはどう違う?
風邪はよく耳にする病気ですが、詳しいことは知らない方も多いかもしれませんね。まずは、風邪について理解を深めましょう。
風邪(普通感冒)とは?
一般的に「かぜをひいた」という時の風邪は、医学的に「普通感冒」と呼ばれています。原因となるウイルスはさまざまで、発熱したり、のどや鼻に症状が現れたりします。
発症から、比較的ゆっくり進行し、全身症状は少なく特定の部位だけに症状がでるのが特徴です。
風邪とインフルエンザは異なるもの?
風邪とインフルエンザは、似たような症状を引き起こしますが、全く異なるものです。
インフルエンザは「インフルエンザウイルス」が原因で発症し、高熱や頭痛、関節痛、筋肉痛などの症状が、急速に進行します。
症状も風邪よりも重く、強い倦怠感など、全身症状があるのも特徴です。
1シーズンで風邪に何度もかかるのはなぜ?
1年を通して何度も風邪にかかるのは、風邪を引き起こすウイルスの種類が非常に多いからです。
一度ウイルスに感染すると体は免疫を形成しますが、別の種類のウイルスには新たな免疫が必要です。
風邪の原因となるウイルスは、数百種類以上あると言われているので、ひとつのウイルスで免疫を形成しても、別のウイルスによって再度発症する可能性があります。
子どもの風邪の代表的な症状は?
子どもの風邪の代表的な症状には、以下のようなものがあります。
- 発熱(微熱〜38度)
- のどの痛み
- 鼻水
- 鼻づまり
- くしゃみ
- せき
これらは代表的な症状ですが、ウイルスの種類によって症状が異なります。
鼻や喉など、特定の部位に限定された症状だけでなく、肺(下気道)や全身的な症状を引き起こすケースもあります。時には重症化し、簡単には治らないこともあるでしょう。
子どもの風邪はどのくらいで治る?症状の流れは?
子どもの風邪は、たいてい約1週間で自然に治ります。
薬などの治療を用いずに、自然に症状が進行し最終的には自然治癒する過程を、自然経過と言いますが、以下で子どもの風邪が自然経過する代表的な流れを説明します。
- 熱が出る…子どもの風邪は、まず熱が出て風邪だとわかるケースがほとんどです。発熱は通常、約3日程度で治まりますが、時には5〜6日続くこともあります。
- 鼻水が出る…発熱から少し遅れて、鼻水が出始めます。初めはサラサラとした透明の鼻水ですが、時間経過とともに粘性が増し、黄色や緑色を帯びることがあります。
- せきや喉の痛みが出る…熱が下がる頃にはせきがピークに達します。せきは数日間でおさまることが多いですが、場合によっては数週間続くこともあります。
このように、風邪の症状は一定の流れを持っており、最終的には自然治癒します。しかし、症状が長引いたり、急に悪化したら、医師の診察を受けましょう。
こんな時は注意!子どもが風邪と一緒にかかりやすい合併症
風邪は重症化したり、合併症を引き起こしたりする場合があります。子どもの風邪の合併症で注意してほしいのは以下の疾患です。
- 急性中耳炎
- 副鼻腔炎
- 気管支炎
- 熱性けいれん
- 脳症
- 心筋炎
急性中耳炎や熱性けいれんといった比較的よくみかける合併症だけでなく、命に関わる脳症や心筋炎を引き起こすこともあります。
また、風邪だと思い込んでいても、実は川崎病やといった他の病気の可能性もあります。風邪だからといって油断することなく、症状を注意深く観察することが大切です。
子どもの風邪で病院に行く目安は?緊急性の高い症状も解説
子どもに風邪のような症状がある場合に、病院に行く目安を解説します。
たいていの場合、過剰に心配する必要はありませんが、症状によってはすぐに医療機関を受診する必要があります。子どもの様子をよく見て、適切に判断しましょう。
緊急性が高い場合
以下の症状があるときは、緊急性が高く、医師の助けが必要なサインです。
- 3か月未満の乳児が38度以上発熱している
- 意識がはっきりとしない
- 脱水症状を起こしている
- けいれんが5分以上おさまらない
- 嘔吐や下痢を繰り返している
このような症状が見られる場合、すぐに医療機関を受診してください。
しばらく様子を見ても問題ない場合
上記のような症状がない場合は、自宅で様子を観察してかまいません。とくに、以下のような様子であれば、急いで医療機関に行く必要はありません。
- 元気がある
- 顔色が良い
- 食事や水分が摂れている
症状が長期間続く場合や、気になる症状がある場合は、医療機関を受診しましょう。
子どもが風邪をひいている時の家庭での対応は?
子どもが風邪を引いている時の対応方法について解説します。
子どもが風邪をひいている時におすすめの食べ物
子どもが風邪をひいたら、症状に合わせた適切な食品を与えることが大切です。以下におすすめの食べものと避けた方が良い食べものを一覧表にまとめました。
おすすめのもの | 避けた方が良いもの |
たまご雑炊 | 脂っこいもの |
ヨーグルト | 消化に悪いもの |
煮込みうどん | スナック菓子 |
風邪をひいている子どもには、消化の良い食べものを与えましょう。
エネルギー・たんぱく質の多い食品は体力回復に役立ちます。一方、脂っこいものやスナック菓子などは消化にエネルギーを使うため、避けたほうがいいでしょう。
子どもが風邪をひいている時の家庭での過ごさせ方
子どもが風邪をひいている時、以下のようなポイントに気をつけて家で過ごしましょう。
- 水分補給をする
- 汗を拭き取り着替える
- 体温、室温を適切に保つ
脱水症状を防ぐために、こまめに水分補給をしましょう。汗をかいていたら、拭き取り、必要であれば着替えて、清潔を保ちます。
暑がるときは薄着にして、氷枕などをあてましょう。反対に、手足が冷たい時、寒気がある時は毛布などで暖かくしてあげてください。室温は、夏であれば26〜28度 、冬は20〜23度が適切です。
家庭内での感染拡大を防ぐ方法
家庭内での感染拡大を防ぐために、以下のポイントを参考にしてください。
- こまめな手洗いうがい消毒
- マスクの着用
- こどもが使ったティッシュはすぐに捨てる
- 定期的な換気
感染を防ぐために、子どもと接触したら手洗いうがい、消毒を行いましょう。また、飛沫感染を防ぐために、マスクの着用をおすすめします。子どもが使ったティッシュはすぐに捨て、定期的な換気をしましょう。
子どもの風邪を予防するために大切なこと
普段から予防対策をすれば、大幅に感染リスクを下げられます。大切なのは、主に以下の3つです。
- 外出後は手洗いうがい
- 人が集まるところではマスクを着用
- 十分な睡眠とバランスの良い食事
風邪の予防は、手洗いうがいが基本です。また、人が集まる場所では、マスクを着用して飛沫感染を防ぎましょう。そして、免疫力を高めるために、十分な睡眠、バランスのよい食事も大切です。
子どもの風邪に関するよくある質問
子どもの風邪に関するよくある質問に、それぞれ回答します。
子どもに食欲がありません。無理にでも食べさせた方が良いでしょうか?
食欲がない時は無理に食事をさせるのではなく、イオン飲料やお茶、白湯などを摂らせて脱水症状を防ぐようにしましょう。食事が数日間取れないようなら、医療機関を受診しましょう。
子どもに熱があります。市販の解熱剤を飲ませてもいいですか?
解熱剤を自己判断でむやみに使用しないでください。
市販の解熱剤には子どもに使用できない成分が入っている製品もあります。熱でつらそうであれば、医師と相談をしたうえで解熱剤の使用をおすすめします。
子どもが下痢をしています。市販の下痢止めを使ってもいいですか?
市販の下痢止めは、自己判断で使用しないようにしましょう。
下痢は、ウイルスを体外へ追い出す体の働きです。下痢止めを使うとウイルスが体の中に残って、病状が深刻化する可能性もあります。医師と相談のうえで用量・用法を守って服用してください。
風邪をひいている時にお風呂へ入れても問題ないでしょうか?
高熱が出ているときや元気がない場合には、体力を消耗してしまうので入浴は避けましょう。元気があれば、短時間のシャワーで、汗を流してあげましょう。
風邪をひいている子どもはなるべく厚着させて体を温めた方が良いですか?
子どもが暑そうにしていたら、無理に厚着させる必要はありません。適度な服装で体温を上げ過ぎないように心掛けてください。
反対に、寒気を感じていたり、手足が冷たかったりするときは、保温するために暖かい服装をさせるなどの対応が必要です。
子どもの風邪のポイントを理解し適切な対応を
子どもの風邪は、さまざまなウイルスにより引き起こされ、発熱、のどの痛み、鼻水、鼻づまりなどの症状が現れます。
一般的に子どもの風邪は約1週間で自然に治ることが多いものです。しかし、正しく対処できないと合併症を引き起こし、重症化する可能性があります。以下の症状がある場合、すぐに医療機関を受診しましょう。
- 3か月未満の乳児が38度以上発熱している
- 意識がはっきりとしていない
- 脱水症状を起こしている
- けいれんが5分以上おさまらない
- 嘔吐や下痢を繰り返している
元気があり、顔色が良い場合は、急いで医療機関を受診する必要はありません。以下を参考に、自宅で対処しましょう。
- 水分補給をする
- 汗を拭き取り着替える
- 体温、室温を適切に保つ
子どもが風邪をひいても、焦らずに正しい対処をしましょう。
監修医師
古東麻悠(ことう・まゆ)
順天堂大学医学部卒業。途上国医療に関心を持ち、学生時代よりアジア・アフリカ各国の保健指導、巡回診療に参画。子どもたちのトータルサポートを目指し、小児科医として働きながらNPO法人very50、NPO法人Ubdobe(現株式会社デジリハ)のメディカルアドバイザーを兼務。現在は都内総合周産期病院にて新生児科医として勤務。一児の母。