子どもが風邪を引いて、熱があったり喉を痛がっていたりすると、どんなものを食べさせればよいか悩みますよね。
できるだけ消化のよいものを……と思っても、おかゆぐらいしか思い浮かばないという保護者の方も多いのではないでしょうか?
本記事では、子どもが風邪を引いた時や風邪予防におすすめの食べ物を紹介します。風邪のときに食べさせるごはん作りの参考にしてください。
目次
そもそも風邪とは?代表的な症状についても説明
1年を通してかかることがある風邪の概要を説明します。
風邪(普通感冒)とは?
風邪の正式名称は「普通感冒」といいます。主にウイルスによって引き起こされる症状で、鼻や喉の急性炎症が特徴です。原因となるウイルスの種類が多いため、感染して抗体ができても他のウイルスに感染すれば、1シーズンで何度も風邪を引くことがあります。
風邪の症状やその重さは原因となるウイルスによって異なります。風邪はのどや鼻など局所的な感染症で、インフルエンザは全身性の感染症です。いずれもウイルスが原因であるため抗生物質は聞かず、薬でつらい症状を抑えながら自然に治るのを待つのが治療の基本です。
長引くと合併症を起こす危険性があるので、早めに症状に合った風邪薬を服用しましょう。
子どもの風邪の代表的な症状
子どもが風邪を引いたときによく見られる症状は以下のとおりです。
- 鼻水
- 鼻づまり
- 喉の痛み
- 頭痛
- 咳
- 37~38℃程度の発熱
- 嘔吐
- 下痢
これらの症状は1週間程度で軽快します。
子どもが風邪を引いている時のごはんはどんなものがおすすめ?
子どもが風邪を引いたら、薬で症状を抑えながら、水分・栄養をしっかり摂って安静にさせることが大切です。
以下で、風邪を引いた子どもにおすすめのごはんを解説します。
子どもが風邪を引いている時に最も大切なのは水分補給
子どもが風邪を引いているときは、脱水症状を起こさないためにこまめに水分を摂らせることが大切です。特に熱が出ているときは、目に見えない汗をたくさんかいています。
次の表を参考に、飲めるものを少しずつ与えてください。
おすすめの飲み物 | 避けた方がよい飲み物 |
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水分を摂りたがらないときは、氷を舐めさせたり、アイスやゼリーなど冷たく口当たりのよい物を食べさせたりして水分を補給しましょう。
特に、喉が痛いときは飲み物を飲むのを嫌がる子どもも少なくありません。そんなときは、本人が飲みたがるものを少しずつ飲ませてください。
症状別!子どもの体調が悪い時におすすめの食べ物
子どもの体調が悪い時におすすめの食べ物を症状別に紹介します。
おすすめの食べ物 | 避けるべき食べ物 | ポイント | |
熱が高い | おかゆ ゼリー プリン | 高脂肪のアイスクリーム バナナ ヨーグルト など | 口当たりが良く、栄養のある食品がおすすめです。 |
嘔吐や下痢がある | やわらかく煮たスープ おかゆ すりおろしたりんご 豆腐 | 糖分の多い物 柑橘類のジュース 乳製品 など | うんちの固さに合わせて、同じような固さで消化のよい食べ物を与えます。 |
喉の痛みが激しい | おかゆ 茶碗蒸し 豆腐 スープ アイスクリーム ゼリー はちみつ(1歳未満の子どもには与えない) ヨーグルト | カレーなどの辛い物 固い物 | 喉が痛いと食事を飲み込むのが辛くなるので、できるだけ喉ごしのよいものがおすすめです。 |
鼻づまりが酷い | 緑黄色野菜をたっぷり使ったスープや鍋 | 特になし | 粘膜を健やかに保つビタミンAや、ウイルスへの抵抗力を高めるビタミンCが多く含まれた食べ物がおすすめです。 |
- 消化のよいものが基本
風邪を引くと、胃腸の働きも鈍くなります。食物繊維の多い根菜類や脂っこい食べ物、甘い物は消化が悪いので避けましょう。
カレーなど香辛料を使った食べ物も、弱った胃腸には負担がかかります。できるだけ薄味で消化のよいものを食べさせてください。
- タンパク質やビタミンを可能な限り摂る
可能であれば、タンパク質やビタミンもしっかり摂れるようなごはんを食べさせてください。風邪を引くと、体内のビタミンやミネラル、タンパク質が失われ、体力を消耗します。
栄養のある食べ物を与えれば、失われる栄養素を補うことができ、回復を促す効果が期待できます。
子どもの風邪予防に効くごはんはどんなものがおすすめ?
風邪を引かないためには、毎日のごはんも大切です。風邪予防に効果的な食事のポイントをお伝えします。
特定の食材に偏らずバランスよく食べさせる
風邪を引かないためには、できるだけいろいろな食材をバランスよく食べさせましょう。
炭水化物・タンパク質・ビタミン・ミネラルのバランスが整った食事を食べさせることは、ウイルスに負けない体力・抵抗力をつけるのに効果的です。
好き嫌いが多い子どもも、具材を細かく刻んでよく煮込んだスープなどにすると食べてくれることがあります。
腸内環境を整える食材を積極的に食べさせる
体の抵抗力には、腸内環境も大きく影響します。ウイルスから体を守る免疫細胞は腸に集まっているので、積極的に腸内環境を整える食材を食べさせましょう。
ヨーグルトなどに含まれる乳酸菌やビフィズス菌だけでなく、これらの菌のエサになる食物繊維やオリゴ糖も一緒に摂るのが望ましいです。特に、きなこなどの大豆製品やバナナは、食物繊維とオリゴ糖を豊富に含むのでおすすめです。
1日3食リズムを守って食事させる
寝起きは食欲がわかず、朝食が食べられない子どももいますが、風邪予防のためにはできるだけ1日3食を規則正しく食べさせましょう。
特に朝食は、寝ている間に下がった体温を上げて、体の活動スイッチを入れる大事な食事です。免疫力アップにもつながるので、スープやシリアルなど食べられるものを少量でもいいので食べさせてください。
子どもが風邪を引いている時のごはんに関するよくある質問
子どもが風邪を引いた時のごはんに関する、よくある質問を紹介します。
子どもに食欲がない時、無理にでも食べさせた方がよいでしょうか?
食欲がない場合は、無理に食べさせる必要はありません。しかし、脱水症状を防ぐためにも、水分だけはしっかり摂らせましょう。
子どもはよく見えない汗をかいているので、発汗で失われるミネラルも補えるスポーツドリンクや経口補水液などの飲みものがおすすめです。
風邪を引いている子どもがアイスクリームばかり食べたがります。食べさせてよいですか?
アイスクリームは冷たく喉ごしがよいため、喉が痛いときや発熱しているときは食べやすいものです。子どもが食べたがるのであれば、食べさせて構いません。
ただし、高脂肪のアイスクリームは胃腸に負担がかかるので、アイスミルクやラクトアイスなどさっぱりしたものを選びましょう。
子どもが食べたいと言うなら、ゼリーやプリンのようなおやつを与えてもよいですか?
ゼリーやプリンは、柔らかくて喉ごしがよいので、風邪を引いているときでも食べやすいでしょう。
特にプリンは卵と牛乳、砂糖で作られているため、栄養価が高く、熱で消耗した体にも適しています。子どもが食べたいようであれば、食べさせて構いません。
風邪を引いている乳児に母乳を与えても問題ありませんか?
風邪を引いていても食欲があるようであれば、いつもどおりに授乳して構いません。栄養豊富な母乳を飲ませることで、体力の消耗が防げます。
風邪を引いている乳児に与えるミルクは薄めた方がよいですか?
現在市販されているミルクは、成分バランスを限りなく母乳に近づけています。
薄めずにそのまま飲ませてください。ミルクを薄めると、かえって必要な栄養が十分に摂れなくなってしまいます。
風邪を引いている子どもを兄弟と一緒の食卓につかせてもよいですか?
同じ家で過ごしていると、どうしても風邪がうつりやすくなります。子どもの年齢に合わせて対応しましょう。
6ヶ月未満の子どもの場合、風邪を引くと重症化することがあります。上の子が風邪を引いた時は、症状が良くなるまで下の子と一緒に食事するのは避けたほうがよいでしょう。
下の子が1歳以上の場合は、上の子が風邪を引いたら下の子にうつるものだと割り切ることも大切です。風邪を引くたびに抗体ができて体が丈夫になると思って、あまり神経質になりすぎないようにしましょう。
子どもが風邪を引いている場合は水分補給を第一優先し症状に合ったごはんを
子どもが風邪を引いたら、発熱の有無にかかわらず、積極的に水分を摂らせましょう。そのうえで、症状に合わせて消化のよいものを食べさせてください。
特にタンパク質やビタミン、ミネラルなどの栄養が豊富な食べ物がおすすめです。普段の食事は栄養バランスを意識し、1日3食しっかり食べられるよう工夫すると風邪予防に役立ちます。
監修医師
古東麻悠(ことう・まゆ)
順天堂大学医学部卒業。途上国医療に関心を持ち、学生時代よりアジア・アフリカ各国の保健指導、巡回診療に参画。子どもたちのトータルサポートを目指し、小児科医として働きながらNPO法人very50、NPO法人Ubdobe(現株式会社デジリハ)のメディカルアドバイザーを兼務。現在は都内総合周産期病院にて新生児科医として勤務。一児の母。