新型コロナワクチンの乳幼児・小児接種について、「接種は強制なの?」「接種を受けるメリットとデメリットは?」と疑問を持つ保護者も多いかと思います。
新型コロナワクチンについてさまざまな意見があります。接種を検討するにあたっては、新型コロナワクチンに対する正しい知識を得る必要があります。
本記事では、新型コロナワクチンの乳幼児・小児接種のメリットや副反応など知識を深め、3回目の接種の重要性について詳しく解説をします。
接種スケジュール、接種後の過ごし方についても紹介しているので、参考にしてみてください。なお、本記事は2023年7月時点での情報に基づき作成しています。
目次
新型コロナワクチンの乳幼児・小児接種とは?絶対に接種しなければならない?
新型コロナワクチンの乳幼児・小児接種の概要について、以下の項目で解説します。
- 新型コロナワクチンとは
- 新型コロナワクチンの乳幼児・小児接種対象年齢は
- 新型コロナワクチンの乳幼児・小児接種回数
- 新型コロナワクチンの乳幼児・小児接種にかかる費用
- 新型コロナワクチンとその他のワクチンの接種間隔
- 新型コロナワクチンの乳幼児・小児接種は努力義務
新型コロナワクチンに関する概要の理解を深めましょう。
新型コロナワクチンとは?
新型コロナワクチンは、コロナウイルスに対する免疫を強くするためのワクチンです。
新型コロナワクチンは予防接種法第六条に規定される臨時に行われる予防接種に該当し、実施期間は2022年2月21日〜2024年3月31日です。
新型コロナウイルスに感染すると、子どもでも重症化する可能性があるため、新型コロナワクチンの接種による感染予防が重要です。
特に基礎疾患を持つ子どもに対しては、接種が推奨されています。
そして、予防接種には「定期接種」と「任意接種」があります。定期接種は、予防接種法に基づき国が必要性を認めたもので、原則無料で受けることができます。
一方の任意接種は、国が認めているワクチンであるものの、予防接種法では規定されていないため、費用は個人負担です。
新型コロナワクチンの乳幼児・小児接種対象年齢は?
新型コロナワクチンの乳幼児・小児接種対象年齢は、生後6か月〜11歳です。
特に基礎疾患を持つ子どもは重症化する可能性があるため、医師と相談して接種を検討しましょう。また、12歳以上は大人と同等の扱いとなります。
新型コロナワクチンの乳幼児・小児接種の回数
乳幼児・小児接種の回数は、成人と同様、3回が推奨されています。
新型コロナワクチンは、時間経過とともに効果が低下し、オミクロン株の流行による重症化も見られるためです。
新型コロナワクチンの乳幼児・小児接種にかかる費用
乳幼児・小児接種の費用はすべて公費負担です。
費用を心配することなく、無料で接種が可能です。子どもに対して安全に接種を受けられる公的な支援が提供されています。
新型コロナワクチンとその他のワクチンの接種間隔
新型コロナワクチンとその他のワクチンの間隔は、13日以上の期間を置くことが推奨されています。
例えば、4月1日に新型コロナワクチンを受けた場合、その他のワクチンは4月14日以降に接種することが望ましいです。
しかし、インフルエンザワクチンは、他のワクチン接種よりも短い期間で、あるいは新型コロナワクチンと同時に接種が可能です。
新型コロナワクチンの乳幼児・小児接種は努力義務
乳幼児・小児接種についても「努力義務」となっています。
つまり、接種の最終的な判断は個々の判断となり、強制ではありません。努力義務となった理由は、オミクロン株の感染増加傾向とともに、子どもの重症化リスクが高まることが明らかになったからです。
そのため、できる限り新型コロナワクチンの接種が推奨されています。
新型コロナワクチンの乳幼児・小児接種を受けるメリットとデメリット
新型コロナワクチンの乳幼児・小児接種を受けるメリットとデメリットを確認しましょう。
新型コロナワクチンの乳幼児・小児接種を受けるメリット
メリットは、感染予防や重症化を避けられることです。
子どもを対象にした臨床試験では、新型コロナウイルスの感染を防ぐ効果に加え、安全性も確認されています。子どもに対する効果は、大人への効果とほぼ同様です。
また、新型コロナワクチン接種で感染予防することで、日常生活への影響を最小限に抑えられます。
もし、子どもが新型コロナウイルスに感染した場合、子どもの学業のみならず、保護者の仕事に大きな影響を及ぼすことになるでしょう。新型コロナワクチン接種が、日常生活に対する影響を避けるきっかけとなります。
新型コロナワクチンの乳幼児・小児接種を受けるデメリット
デメリットは、副作用や副反応があることです。
接種後に、接種部位の痛み、倦怠感、頭痛、発熱など、さまざまな副反応が生じる可能性があります。しかし、これらの症状のほとんどは、軽度または中等度であり、数日で回復します。
新型コロナワクチンの乳幼児・小児接種による有害事象の発現傾向は、従来のワクチンと同等であるとされており、安全性が許容できると考えられています。
新型コロナワクチンの乳幼児・小児接種を受ける流れ
新型コロナワクチンの乳幼児・小児接種の手順を詳しく解説します。安全に接種を進めるため、ワクチンを受けた後の過ごし方まで把握しておきましょう。
新型コロナワクチンの乳幼児・小児接種の予約の取り方
新型コロナワクチンの乳幼児・小児接種の予約は、以下の手順です。
- 市町村から「接種券」と「新型コロナワクチン接種のお知らせ」が届く。
- 接種会場、またはワクチンが受けられる医療機関を探す。
- 指定された方法(電話やインターネット)で接種日時の予約を行う。
接種は、居住地域の医療施設や特設会場で実施されます。詳細は、各市町村のホームページや接種総合案内サイト「コロナワクチンナビ」をご確認ください。
新型コロナワクチンの乳幼児・小児接種当日の流れ
新型コロナワクチンの乳幼児・小児接種当日は、保護者が同伴しなければなりません。
事情により保護者が同伴できない場合は、普段から子どもの健康状態をよく知っている親戚などが、保護者からの委任を得て同伴することが認められます。
当日の服装は、すぐに腕を出せるものを選びましょう。体温が37.5度以上ある、または体調が悪い場合は、接種できません。予約した機関に電話で連絡し、キャンセルの手続きを行いましょう。
当日必要なものは以下の通りです。
- 本人確認のための書類(マイナンバーカード、健康保険証など)
- 自治体から送付された接種券と予診票などが含まれる封筒の中身すべて
- 母子健康手帳
新型コロナワクチンの乳幼児・小児接種を受けた後の過ごし方
接種後は体調管理が重要です。接種当日は、過度な運動を避け、体を無理に動かさないように心掛けてください。
入浴は許可されていますが、接種部位を強くこすらないように注意しましょう。体調がすぐれない場合は、無理に入浴せず、状態を見守ることが重要です。
また、副反応や副作用により、さまざまな体調変化が起きる可能性があります。副反応や副作用のほとんどの症状は、12歳以上の方が接種後に経験するものと同じで、大半は数日で改善されます。
保護者は子どもの様子を注意深く観察し、異常があった場合は医療機関に受診をしてください。
新型コロナワクチンの乳幼児・小児接種に関するよくある質問
新型コロナワクチンの乳幼児・小児接種に関するよくある質問をまとめました。
新型コロナワクチンの乳幼児・小児接種で用いられるワクチンの種類は何ですか?
初回接種は、ファイザー社従来型1価ワクチン(5歳〜11歳用)となります。ファイザー社オミクロン株対応2価ワクチン(5歳〜11歳用)は1・2回目の接種が完了したら、使用できます。
乳幼児はオミクロン対応ワクチンは使えず、3回とも従来型です。
3回接種する前に子どもが12歳になりました。どうしたら良いでしょう?
3回目の接種が12歳の誕生日後になる場合、その子どもは12歳以上向けのワクチンを受けることになります。
乳幼児・小児接種でも大人と同じ量のワクチンなのですか?
5歳から11歳までの子どもに投与されるワクチンの成分量は、12歳以上の対象者に使用されるものの3分の1です。乳幼児は12歳以上と比べて1/10です。
子どもには基礎疾患があります。接種回数は増えますか?
接種回数は原則3回です。基礎疾患のある子どもはあらかじめ、かかりつけ医などとご相談ください。
日本以外の国でも新型コロナワクチンの乳幼児・小児接種は行われていますか?
新型コロナワクチンの乳幼児・小児接種は、すでに多くの国で進行しており、同じく多くの国で推奨されています。
新型コロナワクチンについて理解を深め乳幼児・小児接種の検討を
新型コロナワクチンは、コロナウイルスに対する免疫を強くするためのワクチンであり、子どもであっても接種できます。
メリットは、新型コロナウイルスの感染を予防でき、かつその効果が大人と同程度期待できることです。
予防効果に加え、接種の安全性や感染後の重症化リスクを低減する効果が科学的根拠に基づき確認できているため、接種が推奨されています。
他方デメリットは、副反応や副作用が起きる可能性があることです。接種後には、接種部位の痛み、倦怠感、頭痛、発熱など、さまざまな副反応が生じる可能性があります。
しかし、これらの症状のほとんどが、軽度または中等度であり、数日で回復します。
新型コロナワクチンの概要についてのポイントは、以下の通りです。
- 乳幼児・小児接種の対象年齢は、生後6か月〜11歳
- 通常3回の接種が推奨されている
- 初回と2回目が3週間、3回目は3か月以上間隔を空けて接種する
- インフルエンザワクチンは同時期に接種可能
- その他ワクチンの接種は、基本的に13日以上の期間を置く
- 接種は努力義務である
また、接種当日は、すぐに腕を出せる服装で、以下の持ち物を持参しましょう。
- 本人確認のための書類(マイナンバーカード、健康保険証など)
- 自治体から送付された接種券が含まれる封筒の中身すべて
- 母子健康手帳
接種後は、過度な運動を避け、体を無理に動かさないよう、体調管理を徹底しましょう。
新型コロナワクチンの乳幼児・小児接種は法律により強制されているものではなく、最終的な決定は親権者が行います。
医師と相談して、正しい知見で接種を検討しましょう。
監修医師
古東麻悠(ことう・まゆ)
順天堂大学医学部卒業。途上国医療に関心を持ち、学生時代よりアジア・アフリカ各国の保健指導、巡回診療に参画。子どもたちのトータルサポートを目指し、小児科医として働きながらNPO法人very50、NPO法人Ubdobe(現株式会社デジリハ)のメディカルアドバイザーを兼務。現在は都内総合周産期病院にて新生児科医として勤務。一児の母。