ヘルパンギーナは乳幼児の間で流行する夏風邪の一種です。
子どもがヘルパンギーナに罹患した際に、「保育園には報告するべき?」「出席停止?登園許可は必要?」といった疑問を持っている方も多いのではないでしょうか?
ヘルパンギーナは感染力が強いため、保育園や幼稚園に伝えないと感染が拡大する可能性があります。
他の子どもたちや保育園・幼稚園全体に影響を及ぼさないために、報告と正しい対処を行いましょう。
本記事では、ヘルパンギーナの特徴や、保育園・幼稚園に対する対応方法を解説します。
また、ヘルパンギーナの家庭内対策や、兄弟が罹患してしまった際の対応方法も紹介しているので、参考にしてください。
目次
ヘルパンギーナとは?代表的な症状や罹患しやすい時期
ヘルパンギーナはウイルスによる急性の咽頭炎で、高熱や喉の痛みを伴う水疱が口内に発生するのが特徴です。
主に夏季に、5歳以下の子どもの間で流行します。ヘルパンギーナは、エンテロウイルスやコクサッキーウイルスなどのウイルス感染による病気なので、手洗いうがいなどの予防対策が重要です。
NDI国立感染症研究所「ヘルパンギーナとは」参考
ヘルパンギーナが保育園・幼稚園で流行しやすい理由
ヘルパンギーナは感染力の強いウイルス性疾患で、感染者の咳、鼻水、便などにより感染が拡大します。
潜伏期間は3〜6日ほどで、症状がおさまっても便からウイルスの排出が続きます。
そして、1〜4歳の乳幼児が特に感染しやすい特性があるため、保育園や幼稚園などの集団生活をする環境では、感染が増大しやすくなるのです。
ヘルパンギーナに罹患したら保育園・幼稚園は出席停止?登園許可は必要?
子どもがヘルパンギーナに罹患した際の登園について解説します。
正しい対応方法を身につけ、他の子どもたちや保育園全体の感染を防ぎましょう。
ヘルパンギーナは第三種学校伝染病
ヘルパンギーナは「第三種学校伝染病」として学校保健安全法に指定されています。
インフルエンザのような第二種学校伝染病とは異なり、決まった出席停止期間は存在しません。しかし、高熱や口内の水疱・潰瘍を伴う急性期は、基本的に登園・登校はできません。
ヘルパンギーナに罹患した場合は保育園・幼稚園に報告すべき?
ヘルパンギーナは感染力が強いので、感染がわかったら、は迅速に保育園・幼稚園へ報告すべきです。
早期の情報共有は、感染拡大を最小限にします。他の子どもたちの安全のために、早めに連絡しましょう。
ヘルパンギーナに罹患したらいつから登園できる?
全身状態が改善し症状が落ち着いたら、感染のおそれがないと医師が認めたタイミングで登園できます。
一般的には約1週間で症状が落ち着くようです。しかし、便には、まだ一定の期間ウイルスが排泄されているので、排便後やおむつ交換後の手洗いを徹底する必要があります。
また、保育園や幼稚園によって独自の規定がある場合もあります。登園は、子どもが通う施設に問い合わせてからにしましょう。
ヘルパンギーナに罹患した場合、医師からの登園許可は必須?
ヘルパンギーナに罹患した場合、医師からの登園許可は必須ではありません。しかし、厚生労働省の指針によれば「医師の診察を受けたうえで、保護者が登園届を作成することが望ましい」とされています。
また、保育園によって、登園届の提出が必須ではない場合や医師が署名した登園許可証を要求される場合もあります。
そのため、保育園、幼稚園への確認が必要です。
厚生労働省「2018年改訂版保育所における感染症対策ガイドライン」参考
兄弟がヘルパンギーナに罹患していても登園できる?
家族にヘルパンギーナに罹患した子がいても、無症状の兄弟は登園できます。
しかし、ヘルパンギーナの潜伏期間は約3〜6日間なので、子どもの健康状態に注意して登園の判断をしましょう。
子どもがヘルパンギーナに罹患した場合の家庭での対応は?
子どもがヘルパンギーナに罹患した場合の家庭での対応方法を解説します。
ヘルパンギーナに罹患している場合は水分補給が重要
ヘルパンギーナは高熱が出るため、水分補給で脱水症状を避けましょう。以下におすすめの飲み物と、避けたい飲み物を示しました。参考にしてみてください。
おすすめの飲み物 | 避けたい飲み物 |
スポーツドリンク | 酸味の強いジュース |
麦茶など、カフェインの入っていないお茶 | 炭酸飲料 |
幼児用イオン飲料 | 熱い飲み物 |
喉に刺激とならない、飲みやすい物を準備してあげましょう。
ヘルパンギーナに罹患している場合の食事
ヘルパンギーナに罹患していると喉に激しい痛みがあるため、食事にも気をつけましょう。喉越しがよく、食べやすい食品がおすすめです。
おすすめの食品 | おすすめしない食品 |
スープ | 硬いもの |
ゼリー | 塩気のもの |
ヨーグルト | 辛いもの |
アイスクリーム | 熱いもの |
ヘルパンギーナに罹患していると、食べものが喉を通りにくくなります。硬いものは避け、飲み込みやすいものを選びましょう。
ヘルパンギーナの家庭内感染を防ぐ方法
ヘルパンギーナの感染経路は、感染者の咳やくしゃみによる飛沫感染や、水疱や便から排泄されるウイルスが手を通じて粘膜に到達する接触感染です。
この2つの感染経路を断つために、以下のポイントを意識しましょう。
- 手洗い…流水と石けんによるこまめな手洗いで接触感染を予防。
- うがい…口腔内のウイルスを排除。
- 咳エチケット…家庭内でもマスクを着用し飛沫感染予防。
- 嘔吐物や便の処理…ゴム手袋とマスクを使用し、処理後の接触感染予防。
ヘルパンギーナは、回復後も一定期間排便からウイルスが排出され、感染者が無症状であってもウイルスを排泄する可能性があります。
そのため、発病者だけを隔離するだけでは十分な感染対策とはなりません。手洗い、うがい、咳エチケットが予防策として重要になります。
ヘルパンギーナに関するよくある質問
ヘルパンギーナについて、よく聞かれる質問をまとめました。困ったときに参考にしてみてください。
ヘルパンギーナに罹患した場合に病児保育は利用できますか?
ヘルパンギーナは、熱が下がってから24時間経過していれば病児保育が利用できます。
ヘルパンギーナ罹患中の子どもが食事を嫌がります。食べさせなくても大丈夫でしょうか?
もし、食事ができなくても、水分はしっかりと与えるようにしてください。
食事が数日できていない場合や、水分を受け付けなくなった場合は、医療機関を受診しましょう。
ヘルパンギーナと手足口病は違う病気ですか?
ヘルパンギーナと手足口病は違う病気です。
ヘルパンギーナは、高熱が出て、口内に限定して水疱が出ます。
いっぽう手足口病では、通常体温の上昇はわずかで、口だけでなく手や足にも発疹が現れます。
保育園などでヘルパンギーナが流行している場合に感染予防として親ができることはありますか?
これを機会に、子どもに手洗いうがいの習慣をつけましょう。1~4歳なら、基本的な生活習慣を身につけ、清潔な行動を学べる時期です。
感染を防ぐ方法とその重要性を、わかりやすい言葉で伝えましょう。
ヘルパンギーナで保育園・幼稚園を休む場合は必ず報告を
ヘルパンギーナは感染力が強く、保育園・幼稚園で感染が拡大しやすい病気です。子どもが罹患した場合、保護者は早めの報告と対応を心がけましょう。
また、医師からの登園許可は必須ではありませんが、全身状態が改善し医師の診察を受けたうえで、保護者が登園届を作成するように厚生労働省から推奨されています。
罹患してしまったら、家庭での対策として水分補給、喉に優しい食事を心がけ回復を待ちましょう。
家庭内での感染拡大を防止するには、以下の4つに注意が必要です。
- 手洗い
- うがい
- 咳エチケット
- 適切な嘔吐物や便の処理
この記事を参考に、ヘルパンギーナの特徴や予防法を理解し、家庭でも対策をおこないましょう。
保育園や幼稚園へスムーズに復帰できるように、感染後の対策も参考にしてください。
監修医師
古東麻悠(ことう・まゆ)
順天堂大学医学部卒業。途上国医療に関心を持ち、学生時代よりアジア・アフリカ各国の保健指導、巡回診療に参画。子どもたちのトータルサポートを目指し、小児科医として働きながらNPO法人very50、NPO法人Ubdobe(現株式会社デジリハ)のメディカルアドバイザーを兼務。現在は都内総合周産期病院にて新生児科医として勤務。一児の母。