1歳半健診では、子どもの成長をサポートしてくれる制度であり、育児で抱える疑問を相談できます。
しかし「1歳半健診ではどんなことを検査するのだろう?」「持って行くべきものは?」など、乳幼児健診の前はさまざまな不安がありますよね。
本記事では、「1歳6か月児健康診査」の概要や、診察内容、当日までに準備すべきものを解説します。当日の流れや、検査が終わった後の流れも記載しているので、参考にしてください。
目次
1歳半健診とは?乳幼児健診の行われる時期や費用を紹介
1歳半健診は、正式には「1歳6か月児健康診査」と呼ばれ、乳幼児の発達状況の診察や、早期に健康問題の発見を目的とした健康診査のひとつです。
この検査は、乳幼児健診(乳幼児健康診査)の一環で、子どもの健康状態のみならず、保護者が子育てに関する疑問を相談できる機会でもあります。
以下では、1歳6か月児健康診査の概要について解説します。
乳幼児健診(乳幼児健康診査)が行われる時期
乳幼児健診(乳幼児健康診査)が行われる時期は、市区町村によって異なりますが、主に以下のタイミングで実施されます。
- 3〜4か月
- 6〜7か月
- 9〜10か月
- 1歳6か月
- 3歳
月齢や年齢によって、検査項目が変わるので、忘れずに受診しましょう。また、地域によっては公的な保健施設で行われたり、指定の医師に診てもらったりと、実施方法が異なります。
1歳半健診(1歳6か月健診)の目的
1歳半健診は、子どもの健康状態の確認や、発育・発達のサポート、子育て中のさまざまな不安を解消する為に実施されます。
子どもが1歳6ヶ月になると、心身の発達が顕著に現れるので、体と心の発達も確認します。
また、子育ての課題や疑問に対して、医師や栄養士などが相談を受けてくれます。
このようなサポートにより、子どもの発育を良好に保ち、親も安心して子育てしやすくなるでしょう。
それまでの健診と1歳半健診の違い
1歳半までの健診では、健康状態の確認が主な目的でしたが、1歳半健診では、体だけでなく、心の発達の確認も大きな目的です。
1歳半になると、一人歩きを始めたり、言葉を話し始めたりと、大きな発育の節目を迎えます。
自我が芽生える時期でもあるので、より心の発達状況が重視されます。
1歳半健診にかかる費用
1歳半健診は、母子保健法に基づいた「法定健診」です。費用は自治体負担なので、原則無料で受けられます。
1歳半健診の内容
1歳半健診の一般的な内容は、以下の通りです。
- 問診
- 歯科健康診査
- 身体測定
- 体の診察
- 歩行の確認
- 指先を使った動きの確認(積み木・おもちゃ)
- 指さしで伝えようとするかの
- 確認言葉がけへの理解を確認
診察を受ける場所によって、行わない検査や具体的な内容が変わるケースもあるので注意しましょう。
問診
問診では、子どもの生活リズム、食事、睡眠パターン、行動や反応など、子どもの生活全般について聞かれます。
これは、子どもの日常生活や健康状態に、問題がないか確認するためのものです。
歯科健康診査
歯科健康診査では、歯の生え具合や虫歯、口腔内の健康状態を確認します。
また、歯磨き習慣のつけ方や食生活などについて、アドバイスを実施します。
身体測定
身体測定では、身長、体重などを測定します。
子どもの成長と発達を評価する基本的な指標で、適切に成長しているか、何か健康問題が存在しないかを確認するため必要な検査です。
体の診察
体の診察では、耳や目、心臓や肺などを中心に健康状態をチェックします。
視覚や聴覚の問題、呼吸器や循環器系の異常など、潜在的な健康問題を早期に見つけ対応するのが目的です。
歩行の確認
歩行の確認では、子どもが一人でしっかりと歩けるかを見ます。運動能力とバランス、足の形状や歩き方が正常かを確認します。
指先を使った動きの確認(積み木・おもちゃ)
子どもが積み木やおもちゃを使って、持ち上げる動作などを観察し、指先の発達を確認します。
指さしで伝えようとするかの確認
絵本やカードに描かれた絵に対して、「わんわんはどれ?」と尋ねて指さして答えられるかを確認します。
人に何かを伝えたりする能力を確認する指標になります。
言葉がけへの理解を確認
子どもが大人の言葉にどのように反応し、理解しているかを確認します。対人関係や言語の理解力の発達をチェックする項目です。
1歳半健診を受けるまでの流れ
1歳半健診は、市区町村からお便りが届きます。ここでは、1歳半健診を受けるまでの流れを解説します。
市区町村から1歳半健診に関するお便りがくる
まず、市区町村から健診についてお便りが届きます。
開催場所や日時など、具体的な手続きが記載してあるのでしっかり確認しましょう。
健診には集団健診と個別健診がある
1歳半健診は大きく分けて、集団健診と個別健診の2つがあります。
集団健診は、複数の子どもが同時に健診を受ける形式です。個別健診は、指定された医療機関や地元の小児科で行います。
どちらになるかは、市区町村や保健所によって違います。
持ち物の準備
1歳半健診に必要な持ち物は以下の通りです。
- 自治体から送付された健診のお便り
- 母子健康手帳
- 健康保険証
- 乳幼児医療証
忘れてしまうと、健診を受けられないケースもあるので、持ち物には注意しましょう。
健診当日に気をつけること
健診には時間がかかる場合があります。念のため、替えのオムツや、バスタオル、おやつ、着替えなども持っていくと安心でしょう。
当日は、診察時に赤ちゃんの着替えが楽なよう、前開きの衣服を選びましょう。
すべての検査が終わった後は?
すべての検査が終わった後、検査結果の説明があります。
医師から「詳細に検査した方がよい」と指示されることもあるでしょう。検査が終わったあとの流れを解説します。
検査結果の説明
医師から検査結果を保護者に説明します。ここで子どもについて気になる点があれば、質問できます。
「詳細に検査した方がよい」と言われても、必ずしも問題があるわけではありません。
子どもの発達には個人差があるので、念のため検査するケースもあります。
再検査
乳幼児健診の再診査は、「精密健康診査」とも呼ばれます。再検査が必要でも、必ずしも疾患があるわけではありません。
子どもの状態を詳しく検査して発育をサポートしていくために、再検査が実施されます。
再審査までの期間は、過度に心配する必要はありません。普段の生活で気になることなどをメモしておき、再診査の際に医師などに聞いてみるとよいでしょう。
1歳半健診に関するよくある質問
1歳半健診についての疑問や質問は、いろいろありますよね。以下に、よくある質問とその回答をまとめました。
検査後、「様子見」「要観察」と言われました。大丈夫でしょうか?
「様子見」や「要観察」と診断されても、必ずしも問題があるわけではありません。
子どもの成長や発達には個人差があります。不安な点があれば、医師に相談しましょう。
持ち物以外に、1歳半健診に向けて準備しておくことはありますか?
医師に確認したい質問や、子どもの最近の状況、行動の変化などをメモしておくといいでしょう。
子どもの状況について理解を深められ、心配ごとがあれば、相談できます。
1歳半健診の次の健診は何歳で、どんなことを検査するのですか?
次の定期健診は、3歳児健診です。
身体測定や視覚・聴覚の検査、発達のチェック(言葉の理解や使用、運動の発達等)などが行われます。
1歳半健診は事前準備をしっかり行い臨みましょう
1歳半健診(1歳6か月児健康診査)は、市区町村が実施し、通常は無料で受けられます。
乳幼児の成長と発達の支援、早期の健康問題発見を目的とするほか、子育てに関する相談の機会です。
子どもが1歳6か月になると心身の発達が顕著に現れます。このため、体と心の発達状況を観察し、子育ての新しい課題や疑問をサポートします。
1歳半は、一人歩きや言葉を話し始める大きな発達の節目です。必ず診断を受けるようにしましょう。
監修医師
古東麻悠(ことう・まゆ)
順天堂大学医学部卒業。途上国医療に関心を持ち、学生時代よりアジア・アフリカ各国の保健指導、巡回診療に参画。子どもたちのトータルサポートを目指し、小児科医として働きながらNPO法人very50、NPO法人Ubdobe(現株式会社デジリハ)のメディカルアドバイザーを兼務。現在は都内総合周産期病院にて新生児科医として勤務。一児の母。