2023.06.30

【症状でチェック】それってヘルパンギーナかも|予防方法と治療方法を解説

子どもの代表的な夏風邪として知られるヘルパンギーナ。ヘルパンギーナはウイルスを原因とする病気で、正しく理解しておかないと大人でも罹患する可能性があります。

本記事では、ヘルパンギーナに罹患すると、どのような症状がでるのか、症状によるセルフチェック項目を紹介します。また、罹患した場合の対処法や、予防方法についても解説しているので、参考にしてください。

目次

【症状でセルフチェック】この症状はヘルパンギーナ?

ヘルパンギーナかどうか疑われるときは、以下の4項目をセルフチェックしてみましょう。

  • 口の中、喉が赤い
  • 喉の奥に複数の水ぶくれがある
  • 38度以上の高熱がある
  • 口腔内の痛みを伴う食欲不振がある

このような症状がみられたら、医療機関を受診しましょう。
それぞれ詳しく解説します。

口の中・喉が赤い

ヘルパンギーナはウイルスが炎症を引き起こすため、口の中や喉が赤くなります。この赤みは痛みも伴うので、子どもが食べたり飲んだりを嫌がることがあります。

喉の奥に複数の水ぶくれがある

ヘルパンギーナは、喉の奥に複数の水ぶくれのようなものがでます。これは、小さな白または灰白色の発疹(1〜2mm程度)で、数日後に浅い潰瘍になることがあります。また、かなり痛がるでしょう。

38度以上の高熱がある

ヘルパンギーナは罹患すると体温が38〜40度ほどまで上がります。2〜4日程度で解熱するのも特徴です。

口腔内の痛みを伴う食欲不振がある

ヘルパンギーナに罹患すると口腔内の痛みを伴うケースがあります。食事や水分を十分に摂れなければ、脱水になることもあるので注意が必要です。

ヘルパンギーナとは

ヘルパンギーナは、主に子どもが感染するウイルス性の咽頭炎で、口腔内や喉に痛みを伴う発疹や水疱(水ぶくれ)などの症状が特徴です。感染から2~4日の潜伏期間を経て、突然38〜40度程度の高熱が出ます。また、ヘルパンギーナは主に夏から秋にかけて流行し、いわゆる「夏風邪」の一つとされています。ヘルパンギーナの概要について、以下の項目で詳しく解説します。

  • ヘルパンギーナの症状
  • 感染後の治療方法
  • 主な感染経路
  • 流行する季節

それぞれ詳しく解説します

ヘルパンギーナの症状

ヘルパンギーナは、感染後2〜4日で突然の高熱と、水ぶくれのような痛みをともなう発疹が口の中に現れます。高熱による倦怠感や、痛みによって、飲食が困難になると、脱水症状を起こす危険があり注意が必要です。

また、ヘルパンギーナによる合併症にも注意が必要です。熱性けいれんや、まれに髄膜炎や心筋炎を起こす可能性もあります。

感染後の治療方法

ヘルパンギーナには特定の治療法が存在しないので、症状に基づいた「対症療法」が一般的です。

主に、発熱や口腔内の痛みを軽減するために解熱剤や鎮痛剤を使用します。また、こまめな水分補給を行い、安静にすることも大切です。

1週間程度で自然に治りますが、症状が重くなったら、医療機関を受診してください。予防法は、感染者との接触を避けることや、うがいや手洗いが推奨されています。

登園するかどうかについては法律で明確に定められておらず「相談をして第三種学校伝染病としての扱いをすることがあり得る病気」と解釈されています。患者本人の状態によっては、出席も可能です。

主な感染経路

ヘルパンギーナの主な感染経路は、「飛沫感染」と「経口感染」「接触感染」の3つがあります。

・飛沫感染
咳やくしゃみはもちろん、会話をしたときなどにウイルスを含んだ飛沫が飛び、それを吸い込むことで感染するルートです。

・経口感染
経口感染とは、感染した物質を口から体内に取り込むことによる感染です。主にウイルスが付着した飲食物を介して感染が広がります。

・接触感染
手足口病に感染した人や、感染した人が触った物などに触れた手で目・鼻・口に触ることで感染するルートです。

流行する季節

日本では毎年、5月頃からヘルパンギーナの患者数が増え始めます。7月頃にピークに達し、8月から減少し始め9月から10月にかけてはほとんど見られなくなります。国内におけるヘルパンギーナの流行は通常、西から東へと順次広がっていきます。

子どもがヘルパンギーナにかかってしまったら

子どもがヘルパンギーナにかかってしまった場合、注意するポイントを解説します。

  • 登園までの目安日数はどれくらい?
  • 脱水症状にならないためには?
  • お世話で注意することは?
  • 兄弟姉妹とは離すべき?

それぞれ詳しく解説します。

登園までの目安日数はどれくらい?

ヘルパンギーナは「第三種学校伝染病」に指定され、学校において流行を広げる可能性がある伝染病ではありますが、いつまでという明確な出席停止期間はありません。しかし、ヘルパンギーナは、他の園児に感染するリスクもあるため、登園を控える必要があります。

ヘルパンギーナに感染したことがわかったら、まずは、保育園に連絡をしましょう。

おおよそ1週間で登園ができますが、感染のおそれがないという医師の判断されてからの登園をおすすめします。

脱水症状にならないためには?

ヘルパンギーナは、高熱による発汗や、嘔吐、下痢から水分を失うため、脱水症状に注意が必要です。

のどの痛みを考慮して、刺激性のある飲み物(オレンジジュースなど)は避け、のどごしの良い、少し冷たい飲み物(麦茶、牛乳、冷たいスープなど)を選びます。

食事は刺激が少なく、容易に飲み込めるもの(ゼリー、プリン、冷たいおじや、豆腐など)がおすすめです。

お世話で注意することは?

ペルパンギーナのウイルスは、2〜4週間の長期にわたり便から排出されます。おむつ交換時に、手を介して感染が広がる可能性があるため、おむつ交換後はよく手洗いを行いましょう。

兄弟姉妹とは離すべき?

兄弟姉妹間の感染を防ぐためには、接触を最小限に抑えることが必要です。
会話やくしゃみによる飛沫感染を避けましょう。

また、接触感染にも注意しましょう。特に、口に入れることが多いおもちゃなどには注意が必要です。

ヘルパンギーナの予防方法

ヘルパンギーナにはワクチンがなく、特別な予防法はありません。感染者との接触避け、うがいや手洗いを徹底しましょう。咳エチケットにも心がけましょう。

ヘルパンギーナ・手足口病・咽頭結膜熱(プール熱)の違い

ヘルパンギーナは、高熱と口の中にできる発疹が特徴です。手足口病は、平熱または微熱程度で、手足にも発疹がでます。

また、プール熱も症状が似ていますが、発症原因のウイルスが「アデノウイルス」であり、ヘルパンギーナとは異なります。また、プール熱には、結膜炎(目の充血、目やに)の症状がみられます。

よくある質問

ヘルパンギーナに関するよくある質問をまとめました。

  • ヘルパンギーナは大人にもうつる?
  • ヘルパンギーナの初期症状は?
  • ヘルパンギーナの感染経路は?

参考にしてください。

ヘルパンギーナは大人にもうつる?

免疫力が低下している場合、大人も罹患します。予防対策や、日頃の体調管理が大切です。

ヘルパンギーナの初期症状は?

ヘルパンギーナの初期症状は、突然の高熱です。また同時期に、口内に発疹がでます。

ヘルパンギーナの感染経路は?

ヘルパンギーナの感染経路は、飛沫感染、経口感染、接触感染の3種類があります。マスクの着用や、こまめな手洗いうがい、消毒による予防が有効です。

まとめ

ヘルパンギーナは主に子どもに見られるウイルス感染症で、突然の高熱と痛みを伴う口の中に限定される発疹が特徴です。夏から秋にかけて流行し、感染後約1週間で自然に治ります。

ヘルパンギーナのセルフチェック項目は以下の4つです。

  • 口の中、喉が赤い
  • 喉の奥に複数の水ぶくれがある
  • 38度以上の高熱がある
  • 口腔内の痛みを伴う食欲不振がある

このような症状がみられる場合、ヘルパンギーナを疑い医療機関を受診しましょう。

罹患したら、脱水症状に注意し、兄弟姉妹との接触を最小限に抑える必要があります。

感染は飛沫、経口、接触の3つでひろがり、予防には、咳エチケットや、うがいや手洗い、消毒を徹底することが大切です。

監修医師

古東麻悠(ことう・まゆ)

順天堂大学医学部卒業。途上国医療に関心を持ち、学生時代よりアジア・アフリカ各国の保健指導、巡回診療に参画。子どもたちのトータルサポートを目指し、小児科医として働きながらNPO法人very50、NPO法人Ubdobe(現株式会社デジリハ)のメディカルアドバイザーを兼務。現在は都内総合周産期病院にて新生児科医として勤務。一児の母。