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2025.11.10

赤ちゃんの便秘、気になるサインを見逃さない!|自宅でできる対策から受診すべき症状まで

夏から秋への季節の変わり目も、便秘が多くなる季節です。特にご自身が便秘で悩んでいらっしゃる方は、お子さんには便秘で悩んで欲しくないと思っていらっしゃると思います。
そのためにも、赤ちゃんのころから、規則正しい排便習慣を身につける事はとても大切です。

長年、小児科で診察していると、便秘以外の症状(嘔吐や腹痛、頻尿、下痢、お尻から血が出たなど)を訴えて受診されたところ、実は治療すべき便秘症があるとわかり、保護者様が驚かれる、という事をよく経験します。

このように、お子さんの便秘は実は気づきにくいものです。皆さまのお子さんは、いかがでしょうか?

目次

毎日うんちがあっても便秘の可能性あり?自宅でできる対策

便秘とは便が長い時間出ないか、出にくいことを言います。通常、出ない日が続く、もしくは週に3回でないなどは便秘と考えられます。
ただ、毎日うんちがあっても、便秘がないとは言いきれません。排便時に赤ちゃんが痛がって泣いたり、肛門が切れて血が出たりする場合も便秘です。

また、便が溜まりすぎると、少量の便が漏れ出るようになります。小さいコロコロの便や、軟らかい便が少しずつ1日に何回も出ている場合も便秘の疑いがあります。

排便の時に便が硬くて痛い思いをすると、排便を我慢してさらに便が硬くなり悪循環となります。
その状態が長く続くと腸が伸びてしまい便意を感じにくくなり、さらなる悪循環に陥り治療が難しくなるため早めに対処する事が大切です。

自宅でできる便秘対策

朝の「スッキリ」を習慣に!生活リズムでつくる自然なお通じ

早寝早起き、規則正しい生活をして、朝食後に落ち着いて排便の時間をとれるようにしましょう。
トイレトレーニングの完了しているお子さんでは、毎日排便しやすい、ゆとりのある時間帯にトイレにすわる習慣をつけることはとても良いことです。ただし、無理じいや、長い時間かけることは避けましょう。また、便意を感じたら我慢せずにトイレに行くことも大切です。

出すは食べるから!便秘を防ぐ食事の基本と水分補給

バランスのとれた食事をとり、決められたおやつの時間外には間食を避けるようにしましょう。
食事は、食物繊維を多く含む野菜や豆類をバランスよく摂りましょう。食物繊維は大きく次の2種類に分けられます。不溶性食物繊維(芋類、根菜、豆類、かぼちゃ、きのこ、バナナなどに比較的多く含まれる)は水分を吸収して便の量を増やす効果があります。
便量が多いと腸での通過が早くなり、便秘改善の効果が期待できます。また、水溶性食物繊維(わかめ、昆布、ひじき、こんにゃくなどに比較的多く含まれる。大麦や大豆にも多く含まれる)は大腸内で乳酸菌やビフィズス菌などの腸内細菌を増やす効果があるとされています。
また、離乳食が始まったお子さんでは、プルーン、リンゴ、かんきつ類などの果汁を3倍くらいにうすめて10〜20mlほど飲ませる、毎日少しずつヨーグルトを食べさせてみるなども試してみても良いでしょう。
便の量が少ないと腸に長くとどまり水分が吸収されて便が硬くなり便秘になりやすいため、お菓子や甘いドリンク類のようにカロリーが高いわりにはあまり便にならないものは、控えましょう。
食事量が少なくないか、赤ちゃんでは哺乳量が十分か、運動時にはこまめに水分をとっているか、乳幼児で夜間の着せすぎによる多量の寝汗などで水分不足になってないか、なども確認 しましょう。

ゴロゴロは便秘のもと?体を動かして、腸も元気に動かそう!

体を動かすことは、腸の運動を活発にして便通をよくするとされています。一緒にお散歩をしたり、体を動かして遊んだりしてみましょう。月齢が低い赤ちゃんでは、手足を動かしてあげたり、目は離さないようにしながら仰向け以外の姿勢にもしたりして体を動かしてあげるのも良いでしょう。

「トイレが嫌い」になる前に。親子で進める、無理のないトイレトレーニング

無理なトイレトレーニングは、便秘の原因になることがあります。本人の発達段階(ひとりで下着の上げ下げができる、うんち、トイレに興味を示す、人のまねをしたがる、など)を考慮して開始しましょう。すでに便秘のお子さんはまず便秘の治療を受けて規則的に排便があるようになってからトイレットトレーニングを始めるようにしましょう。

こんなときは迷わず病院へ!お医者さんに診てもらうタイミング

赤ちゃんの便秘で心配な時、自宅でのケアで改善しない場合は、迷わず小児科を受診しましょう。

便秘の時の受診を検討すべきタイミング

・排便時に痛がったり苦しそうにしたりする様子が数日続く。
・度々浣腸(綿棒浣腸も含む)をして、うんちを出している。
・腹痛や嘔吐、少量ずつの頻回の下痢、お尻の痛みや出血(ペーパーに何度か血がつくなども)がある。
・排便が週に1〜2回しかない、あるいは、ほぼ毎日出ているが小さくコロコロしている。
・乳児で、うんちの出が悪く、おなかがはって苦しそう、機嫌が悪い、授乳時に吐く、またはミルクを飲む量が減っている。
など。

その他、緊急で受診すべき症状

・赤い、黒い、白いうんちが出た場合、特に赤ちゃんがぐったりと元気がない、
・嘔吐を繰り返す、
・10分間隔で泣いたり顔色が悪くなる、
・強い腹痛がある、
・イチゴジャムのような赤い粘血便が出た、
・米のとぎ汁のような白い下痢が出た、
など。

受診時の準備

お医者さんにうんちの状態を正確に伝えるため、以下の点を準備しておくとスムーズです。

・うんちの回数や量。
・赤ちゃんの機嫌や食欲の様子。
・発熱、嘔吐など他の症状の有無。
・おしっこの回数。
・普段と違うものを食べたか。
・抗菌薬の服用歴。
・うんちのついたおむつをビニール袋に入れて持参したり、スマートフォンで写真を撮って見せるのも有効です。

まとめ

赤ちゃんの便に関する悩みは尽きませんが、うんちの状態をよく観察し、適切な対応をすることが大切です。まずは自宅でできるケアを試しながら、気になる症状や改善が見られない場合は、早めに小児科を受診して専門家のアドバイスを求めましょう。早めの受診と正しい知識が、お子さんの健やかな成長をサポートします。

<参考文献>

小児慢性機能性 便秘症 診療ガイドライン
https://www.jspghan.org/constipation/files/guideline.pdf
こどもの便秘
https://www.jspghan.org/constipation/files/pamphlet.pdf

監修医師

ことびあクリニック恵比寿院 
院長 金井 幸代(かない さちよ)

徳島県出身
平成9年 徳島大学医学部 卒業
学位:医学博士
専門:日本小児科学会 小児科専門医
所属学会:日本小児科学会/日本外来小児科学会/日本小児アレルギー学会